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2026.06.04 【症例紹介】6歳5カ月ミニチュアシュナウザーの歯ぐき腫瘤切除と歯周病治療|小さな変化から見つかったお口のトラブル

「歯ぐきにできもののような膨らみがある」
「最初は小さかったけれど、少しずつ大きくなってきた気がする」

犬のお口のトラブルでは、このような変化をきっかけにご相談いただくことがあります。

歯ぐきに見られる膨らみは、歯周病や炎症による腫れの場合もありますが、中には腫瘍が関係しているケースもあります。見た目だけで判断することは難しく、口の中を詳しく確認すると、歯周病が大きく進行していることも少なくありません。

今回は、歯ぐきの腫瘤と重度歯周病に対して、歯石除去・抜歯・腫瘤切除を行ったミニチュアシュナウザーの症例をご紹介します。

■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査と治療方針
4.治療と処置の流れ
5.術後の様子と経過
6.犬の歯ぐきの膨らみについて
7.まとめ

症例情報(概要)

種類:犬(ミニチュアシュナウザー)
年齢:6歳5カ月
性別:オス
体重:7.2kg
主訴:下顎歯肉の腫瘤が徐々に大きくなっている
処置内容:歯肉腫瘤切除・抜歯・歯石除去
現在の経過:病理検査でエプーリス(歯肉腫)と診断、経過良好

ご相談内容とご来院時の状態

数か月前から下顎の歯ぐきに膨らみが見られ、徐々に大きくなってきたとのことでご来院されました。

診察では、右下の前歯(第2・第3切歯)の間に約2cmほどの腫瘤を確認しました。また、全体的に歯石が重度に付着しており、歯周病もかなり進行している状態でした。

検査と治療方針

まず、全身麻酔下での処置が可能かを確認するため、血液検査を実施しました。

あわせて、胸部レントゲン検査口腔内レントゲン検査を行い、

・胸への転移がないか
・歯やあごの骨の状態
・歯周病の進行具合

などを確認。歯ぐきの腫瘤については、切除したうえで組織を病理検査に提出し、詳しく確認することとしました。

また、口の中全体に重度の歯周病が進行しており、ぐらつきの強い歯も認められたため、検査結果や現在のお口の状態について飼い主様へ詳しくご説明したうえで、麻酔下で歯石除去・抜歯・腫瘤切除を行う方針となりました。

治療方針

・全身麻酔下で歯石除去を実施
・状態の悪い歯は抜歯を実施
・歯ぐきの腫瘤を切除
・切除した組織は病理検査で詳しく確認

治療と処置の流れ

安全に処置を進めるため、麻酔下で口腔内の状態を詳しく確認しながら、段階的に処置を行いました。

① 歯石除去(スケーリング)
まず、超音波スケーラーを使用し、歯の表面や歯周ポケットに付着していた歯石を丁寧に除去しました。今回の症例では、口の中全体に重度の歯石付着と歯周病が確認されていたため、歯ぐきの状態も確認しながら慎重に処置を進めています。

② 腫瘤切除と抜歯
続いて、下顎の歯ぐきにできていた腫瘤を切除しました。
切除の際は、できる限り周囲との境界を意識しながら処置を行い、腫瘤ができていた部分の歯については、歯周病によるぐらつきも強かったため抜歯を実施しています。
また、奥歯にも重度歯周病が確認されたため、状態の悪い歯についてはあわせて抜歯を行いました。

③ 抜歯部位の処置と縫合
抜歯では、まず歯ぐきを歯から丁寧に剥がし、必要に応じて歯の根元周囲の骨を削りながら歯を取り除きます。その後、削った骨の表面を整え、薬を詰めたうえで、剥がしていた歯ぐきを縫合し、抜歯した部分を保護しました。

④ 歯科用抗生剤軟膏の塗布
最後に、すべての歯周ポケットへ歯科用の抗生剤軟膏を注入し、処置後の炎症や感染を抑える処置を行いました。

切除した腫瘤については、病理検査へ提出し、詳しい結果を待つこととしました。

術後の様子と経過

術後は、切除部分や抜歯部位の治癒も順調で、出血や感染などの大きなトラブルもなく経過しています。

また、病理検査の結果、今回の腫瘤は「エプーリス(歯肉腫)」という、歯ぐきにできる良性の病変であることが分かりました。悪性腫瘍ではなく、転移などを疑う所見も認められませんでした。

現在は、ご自宅でのオーラルケアと定期的な歯科検診を続けながら経過観察を行っています。

犬の歯ぐきの膨らみについて

犬の歯ぐきに見られる膨らみには、例えば次のような原因が挙げられます。

歯周病や炎症に伴う腫れ
エプーリス(歯肉腫)のような良性病変
口腔内腫瘍(悪性腫瘍を含む)

特に、悪性腫瘍の場合は周囲の組織へ広がることもあるため注意が必要です。しかし、実際には見た目だけで区別することが難しく、今回の症例のように、切除後に病理検査を行って詳しい確認が必要になるケースも少なくありません。

また、歯石の付着や歯周病が進行すると、歯のぐらつきや強い痛みにつながることがあります。さらに、口の中の細菌や炎症が全身へ影響を及ぼし、心臓や腎臓などの病気につながる可能性もあるため注意が必要です。

次のような変化が見られる場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

歯ぐきの膨らみが少しずつ大きくなっている
歯石や口臭が気になる
食べ方が以前と変わった

早めに確認することで、今回の症例のように、口の状態を詳しく把握しながら適切な治療につなげやすくなります。

▼歯周病・歯石についてはこちらで詳しく解説しています

まとめ

今回は、歯ぐきの膨らみが徐々に大きくなってきたことをきっかけに受診され、検査の結果、歯ぐきの腫瘤と重度の歯周病が見つかったミニチュアシュナウザーの症例をご紹介しました。

歯ぐきの腫瘤や歯周病は、進行すると食事や日常生活に大きな影響が出ることもある一方で、初期の段階では 気づきにくいケースも少なくありません。特に犬は違和感や痛みがあっても、我慢して普段通りに過ごしてしまうことも多いため、小さな変化の段階で状態を確認しておくことが大切です。

かず動物病院では、お口の状態を丁寧に確認しながら、その子に合わせた治療やデンタルケアをご提案しています。気になる変化がありましたらお気軽にご相談ください。

▼当院での歯科治療についてはこちらで詳しくご紹介しています

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