2024.12.10 犬猫の歯が折れた!?原因と症状、治療法、予防方法まで解説!
愛犬や愛猫の歯が折れてしまったら、「なぜこんなことが起きたのだろう?」「放っておいても大丈夫なの?」と心配になりますよね。実は、犬や猫の歯が折れるトラブルは意外と多く見られます。放置すると痛みや感染を引き起こし、さらには命に関わる合併症につながる可能性もあるため、注意が必要です。
今回は、破折(歯が折れること)の原因や症状、治療法、そして予防方法について詳しく解説します。
■目次
1.歯の破折とはどんな状態?破折が起こる原因
2.こんな症状に要注意!歯の破折のサイン
3.放置は危険!歯の破折で起こりうる合併症
4.歯の破折の治療方法について
5.歯の破折を予防するために気を付けたいこと
6.まとめ
歯の破折とはどんな状態?破折が起こる原因
歯の破折とは、歯が部分的または完全に折れたり割れたりしてしまう状態を指します。
犬や猫では次のような原因で発生することが多いです。
・硬いものを噛む
ひづめ、硬いおもちゃ、デンタルガムなどが原因になることがあります。特に硬いものを噛むのが好きな子は注意が必要です。
・事故や外傷
転倒や高い場所からの落下、衝突などで歯が折れることがあります。
・歯やエナメル質の弱さ
動物の歯は人間に比べてエナメル質が薄く、噛む力が強いため、破折が起こりやすい特徴があります。
また、若齢や老齢のペットは、成長過程や加齢による歯の脆弱性が影響することもあります。
子犬の歯のケアと乳歯の問題についてはこちらで詳しく解説しています
こんな症状に要注意!歯の破折のサイン
破折が発生すると、歯の内部にある歯髄(神経や血管)が露出し、痛みや感染が起こることがあります。その結果、ペットには次のような行動や症状が見られる場合があります。
・口の片方だけで咀嚼する
・お気に入りの硬いおやつやおもちゃを避ける
・口からよだれが垂れることが多くなる
・痛みや違和感があるため、口元を気にする行動が見られる
・痛みや不快感から攻撃的になる
・おもちゃや毛布に血が付く
これらの変化が見られたら、動物病院を受診し相談するようにしましょう。
放置は危険!歯の破折で起こりうる合併症
歯髄が露出する状態(露髄)になると、口腔内の細菌が歯髄に感染します。このような感染が進行すると、歯髄炎や歯周炎、さらには歯根の周囲に膿が溜まる根尖膿瘍へと発展することがあります。
歯周病についてこちらで詳しく解説しています
さらに、細菌が血流を通じて全身に広がると、敗血症などの命に関わる状態を引き起こすリスクもあります。こうした深刻な事態を避けるためにも、早期の治療が欠かせません。
歯の破折の治療方法について
破折の治療法は、歯の状態や破折の程度、動物の健康状態、そして飼い主様の希望によって異なります。
以下におおまかな治療法を状態別にまとめます。
1. 軽度の破折(露髄がない場合)
破折部が浅く、歯髄が露出していない場合、感染リスクが低いため、補修材や詰め物で修復します。
2. 中程度の破折(露髄がある場合)
歯髄が露出している場合、感染や痛みを防ぐため根管治療が必要です。
根管治療ではまず歯の汚れや歯石を除去して綺麗にし、歯髄の一部を取り除いて、保護剤を充填します。その後歯の形を整復するための充填剤で破折部を覆い、歯冠修復(歯の形を元に戻す)をして終了です。
3.重度の破折(歯根まで損傷がある場合)
歯根まで折れている場合や歯の保存が難しい場合には抜歯が選択されます。
その他にも、動物の健康状態的に長時間の麻酔が難しい場合や、痛みが激しい場合、経済的に治療費を抑えたい場合にも抜歯が選択されます。
歯の破折を予防するために気を付けたいこと
前述のように破折は主に硬いものを噛むことで発生します。
そのため、おもちゃやおやつを適切に選び、硬いものによる歯の損傷を防ぎましょう。また、硬いガムではなく歯ブラシやデンタルジェルを使った定期的なデンタルケアも効果的です。
歯のケア方法とデンタルケア商品についてこちらで詳しく解説しています
さらに、動物病院での定期的な歯科検診を受けることで、破折だけでなく、その他の口腔内トラブルの早期発見にもつながります。
まとめ
犬や猫の歯の破折は見過ごされがちですが、放置すると痛みや感染が広がり、重大な合併症につながることがあります。そのため、破折の予防や早期発見は、ペットの健康寿命を延ばすために欠かせません。硬いものを避ける、適切なケアを行う、定期的に歯科検診を受けるといった対策を実践し、大切な家族である動物たちの健康を守りましょう。
もし愛犬や愛猫の歯に異常が見られた場合は、ぜひ当院へご相談ください。
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