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2026.10.06 猫の呼吸が速い・荒いときに考えられること|心筋症や血栓症のサインと受診の目安

「眠っているときのお腹の動きが、いつもより速い気がする」
「少し遊んだだけで、口を開けて息をしている」

このような場面に出会うと、様子を見てよいのか迷われる飼い主様は少なくありません。

猫は体調の悪さを表に出そうとしない動物です。どこかに苦しさがあっても、静かに丸くなって過ごしていることが多く、食欲や元気の変化として表れるころには状態が進んでいる場合もあります。そのなかで、呼吸の速さや荒さは、ご家庭で気づける数少ない変化のひとつです。

今回は、猫の呼吸が速い・荒いときに考えられることとして、猫に多い肥大型心筋症とその合併症として代表的な動脈血栓塞栓症について解説します。

■目次
1.まずはおうちで愛猫の呼吸数を知りましょう
2.肥大型心筋症とは?猫の呼吸が速くなる一因
3.心筋症に伴って起こる動脈血栓塞栓症
4.呼吸や足の異変が起きたら|受診の目安
5.心筋症・血栓症はどのように診断する?
6.まとめ|呼吸の変化は猫が見せてくれる大切なサインです

まずはおうちで愛猫の呼吸数を知りましょう

呼吸の変化は、実際に数えてみると分かりやすくなります。猫が静かに休んでいるときや眠っているときに、胸やお腹が上下する回数を数えてみてください。

1回上がって下がるまでを1回と数え、15秒間の回数を4倍すると、1分間あたりのおおよその回数が分かります。

安静時や睡眠時の呼吸数は、一般的に1分間あたり20〜30回程度が目安とされています。ただし、これはあくまで目安の数値です。室温が高いとき、遊んだ直後、緊張しているときには一時的に増えますし、個体差もあります。

大切なのは、一度の回数だけで判断しないことです。「落ち着いた状態で何度か数えてみてどうか」「以前と比べて変わってきていないか」という観点で考えましょう。

安静にしているのに1分間あたり30回を超える状態が続く場合や、以前より明らかに速くなっている場合は、一度ご相談ください。

肥大型心筋症とは?猫の呼吸が速くなる一因

猫の呼吸が速くなる原因はさまざまですが、そのひとつに心臓の病気があります。なかでも猫に多いとされているのが、肥大型心筋症です。

肥大型心筋症は、血液を全身へ送り出す左心室の筋肉が厚くなる病気です。心臓の壁が厚く硬くなると、心臓が十分に広がって血液をためることが難しくなります。

さらに、肺の血管に血液が滞り、肺水腫という肺に水がたまる状態になると、「呼吸が速くなる」「息が荒くなる」といった症状につながります。

猫の心臓病は初期にはほとんど症状が出ないため、気づかないうちに進行するおそれがあります。

そのため、診察時の聴診で心雑音や不整脈から見つかるケースもあります。定期的な健康診断の機会などは、心臓の変化に気づくきっかけのひとつになります。

その一方で、猫の心臓病は初期に心雑音を伴わないケースも多く、早期発見が難しい病気とされています。

▼犬・猫の健康診断についてはこちらで詳しく解説しています

<犬の心臓病との違い>

犬でも心臓の病気は多く見られますが、犬では心臓の弁に異常が起こる僧帽弁閉鎖不全症が代表的である一方、猫では左心室の筋肉が厚くなる肥大型心筋症が見られ、そこから動脈血栓塞栓症につながることもあります。

症状の表れ方にも違いがあり、犬では心臓病に伴う咳が目立つことがあります。一方、猫では「なんとなく呼吸が速い・浅い」といったわずかな変化しかない場合や、初期にはほとんど症状がない場合もあります。そのため、気づかないうちに病気が進行し、呼吸困難などの症状が突然表れることもある点にも注意が必要です。

▼犬の心臓病についてはこちらで詳しく解説しています

心筋症に伴って起こる動脈血栓塞栓症

心筋症により心臓の内部で血液の流れが滞ると、血のかたまり(血栓)ができることがあります。
この血栓が血流に乗って流れ出し、先の細い血管で詰まった状態が動脈血栓塞栓症(どうみゃくけっせんそくせんしょう)です。

後ろ足へ向かう動脈の分かれ目で血栓が詰まると、後ろ足を引きずる、強く痛がって鳴く、後ろ足が動かせない、足先が冷たくなるといった変化が引き起こされます。このような変化は前触れなく突然表れるケースも少なくありません。

歩き方の異変から「高いところから落ちたのかもしれない」「腰を痛めたのかもしれない」と考えて様子を見てしまうことがありますが、これには注意が必要です。
血栓が詰まっている状態は時間が経つほど体への負担がかかります。後ろ足の変化が見られたときは、速やかに動物病院を受診してください。

呼吸や足の異変が起きたら|受診の目安

猫がシニア期に入ると、寝ている時間が増えたり運動量が減ったりするため、呼吸の変化があっても「歳のせいかな」と見過ごしてしまうことがあります。
しかし、その変化の裏には心臓病などの病気が隠れている可能性もあります。愛猫の様子に違和感を覚えたら放置せず、動物病院の受診をご検討ください。

▼シニア期の体の変化についてはこちらで詳しく解説しています

<肥大型心筋症のサイン>

猫の肥大型心筋症で見られる呼吸の変化と、受診を検討する目安は次のとおりです。

・安静時や睡眠時の呼吸数が、1分間あたり30回を超える状態が続く
・安静時または睡眠時の呼吸が、以前より速い、または浅い
・少し動いただけで息が上がり、休む時間が長くなった
・横になれず、座ったまま首を伸ばして呼吸している

「口を開けて呼吸している(開口呼吸)」「体全体を使って苦しそうに呼吸している」「舌や歯ぐきが青紫色になっている」といった様子は、呼吸状態が悪化している可能性があるため緊急性が高いサインです。時間をおかずに、動物病院へ連絡して受診してください。

<動脈血栓塞栓症のサイン>

動脈血栓塞栓症は主に後ろ足に変化が表れます。

・後ろ足を突然引きずる
・後ろ足で立てない、歩けない
・肉球の色が白っぽい、または紫色っぽく見える
・足を触られるのを強く嫌がる

「突然後ろ足が動かなくなった」「痛みから激しく鳴いている」「足先が冷たい」といった変化は、動脈血栓塞栓症が疑われる緊急性の高い状態です。診療時間外であっても、救急対応の動物病院への受診を検討してください。

心筋症・血栓症はどのように診断する?

当院では、呼吸が速い原因を絞り込むため、検査を組み合わせて、心臓の状態を評価していきます。

・聴診
心雑音や不整脈の有無、心拍数、肺の呼吸音などを確認します。

・胸部レントゲン検査
心臓の大きさや形、肺や胸部の状態を確認し、肺水腫や胸水の有無を評価します。

・超音波検査
心臓の壁の厚さや各部屋の大きさ、心臓の動き、血液の流れなどを確認し、肥大型心筋症の診断や心臓病の進行状態を評価します。

状態によっては血圧測定や心電図検査もあわせて行います。

これらの検査は、1回の検査ですべてが分かるわけではなく、猫の状態や経過に合わせて、どこまで確認するかを飼い主様とご相談しながら進めます。

検査の結果から、心臓や呼吸の状態、血栓が疑われる所見などを総合的に判断し、治療方針を決定します。

必要に応じて、心臓への負担を軽くする治療や肺水腫に対する治療、血栓ができるリスクを抑える治療などを行い、症状が強い場合には呼吸や全身状態の安定を優先します。

まとめ|呼吸の変化は猫が見せてくれる大切なサインです

猫の呼吸が速い・荒いという変化の背景には、肥大型心筋症をはじめとする心臓の病気が隠れていることがあります。

毎日の生活のなかで安静時や睡眠時の呼吸を確認しておくと、「いつもより速い」「息づかいが違う」といった小さな変化に気づきやすくなります。

当院は予約不要の順番制で診療しています。予約なしで受診していただけますが、猫の状態によっては受け入れ準備が必要になるため、来院前にお電話でご連絡ください。
愛猫の呼吸の様子で気になることがありましたら、かず動物病院までお気軽にご相談ください。

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横浜市南区
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かず動物病院
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