2025.02.21 愛犬・愛猫の老化が気になり始めたら 〜動物病院が解説する年齢とともに現れる変化とケア方法〜
愛犬や愛猫が年齢を重ねるにつれ、少しずつ日常生活に変化が現れることがあります。例えば、動きがゆっくりになったり、以前より眠る時間が増えたりといった変化が見られるかもしれません。
愛犬や愛猫のシニア期を迎えるのは自然なことですが、そのような変化を見守る中で心配や戸惑いを覚えることもあるでしょう。
しかし、加齢による変化を早めに察知し、適切なケアを行うことでその影響を和らげ、愛犬や愛猫の快適な毎日をサポートすることができます。また、変化の裏に潜む健康悪化のサインを見逃さないことが大切です。
今回は、愛犬や愛猫のシニア期に見られる具体的な変化や、それに合わせたケアの方法について詳しく解説します。
■目次
1.高齢期に現れる主な症状と特徴
2.認知機能の変化への対応方法
3.運動機能の変化への対応方法
4.目や視覚の変化への対応方法
5.日々のケアと健康管理のポイント
6.まとめ
高齢期に現れる主な症状と特徴
<行動や身体の変化>
シニア期に入ると、愛犬や愛猫の動きがゆっくりになり、日中に眠る時間が増えることがあります。また、筋力の低下や関節の負担、関節炎により、以前は楽にできていた階段の上り下りやジャンプが難しくなる場合もあります。これらの変化は加齢による現象の場合がほとんどです。
<認知機能の変化>
夜泣きや徘徊といった行動は、認知症の初期症状の場合があります。これらの行動は不安感や混乱の表れのため、愛犬や愛猫が安心できる環境作りと適切な対応が必要です。
<歩行の困難や関節の問題>
筋力の低下や関節の変化により、歩行が困難になることがあります。特に犬では、関節炎や変形性関節症が原因で痛みや違和感を伴うことが多く見られます。一方で、猫は痛みを隠す傾向があるため、気づいた時には症状が進行しているケースもあります。これらの症状は、内服薬や注射薬、環境整備やリハビリテーション、適切なサプリメントの使用などで緩和できる場合があります。
近年、老齢の犬猫のほとんどが関節炎を抱えていると言われています。散歩の距離が短くなった、ジャンプをしなくなった、段差を考えて登るようになったなど変化がありましたらご相談ください。
<目や視覚の変化>
高齢犬や高齢猫では、目の透明度が失われる「核硬化症」や、白く濁る「白内障」が見られることがあります。
これらは視力の低下を伴うことがあり、段差でつまずく、物にぶつかるなどの行動が見られる場合があります。早期発見により進行を遅らせることができる場合もあるので、定期的な眼科検診が重要です。
認知機能の変化への対応方法
認知症の初期段階では、夜泣きやトイレの失敗、同じ場所をぐるぐる回るといった行動がみられます。
これらの症状は進行すると頻度や重さが増し、生活全体に影響を及ぼすことがあります。早めにこれらのサインに気づき、適切な対応を取ることが大切です。
<夜泣きの症状への具体的な対処法>
夜泣きの原因には、不安や混乱、昼夜逆転などがあります。以下の対策を取り入れることで、少しでも安心できる環境を整えましょう。
・落ち着く環境を整える
クレートや布で囲った寝床を用意するなど、安心感を与える工夫をしましょう。
・光の調整
夜間でも完全に暗くせず、薄明かりをつけておくことで恐怖心を和らげることができます。
・軽い運動を取り入れる
日中に散歩や遊びを取り入れることで、適度な疲労感を与え、夜間の睡眠を促進します。また、頭の体操も必要ですので知育玩具などで遊ぶのも良いでしょう。
<生活環境の整備>
認知機能の低下が進むと、愛犬や愛猫が予期せぬ行動をとることがあるため、生活環境の整備が一層重要になります。
しかし、安全性を考慮して急に家具の配置を変えると愛犬や愛猫が混乱することがあります。滑りにくいマットを敷いたり、家具を固定するグッズを活用するなどして、家具の配置をできるだけ変えずに安全性を高めましょう。
運動機能の変化への対応方法
高齢になると犬猫の筋力が衰え、関節や骨の負担が増えるため、歩行に困難を感じることが多くなります。主な原因は、関節の軟骨が摩耗して炎症や痛みを引き起こしたり、活動量の減少により筋肉が萎縮したりすることによるもので、神経系の疾患や椎間板ヘルニアなどが原因で足が動かしにくくなることもあります。
<ご家庭でのケアや環境整備>
ご家庭でできるケアを取り入れることで、運動機能の低下を予防し、負担を軽減できます。
・滑りにくい床材の使用
フローリングなどの滑りやすい床では、ペットが足を滑らせて関節に負担をかけることがあります。滑り止めマットを敷くなどして足腰をサポートしましょう。
・段差の軽減
段差にスロープやステップを設置することで、移動が楽になります。
・適度な運動
無理のない範囲での散歩や軽い遊びを取り入れることで、筋力を維持しましょう。例えば、短時間の散歩や軽い引っ張り遊びなどが効果的です。
<リハビリや補助具の活用>
動物病院や専門施設でのリハビリテーション(水中トレッドミルやストレッチ運動など)は、関節への負担を軽減しながら筋力を維持するのに役立ちます。また、補助具としてハーネスや車椅子を使用することで移動をサポートすることや、関節の痛みを緩和するクッション性の高いベッドを活用する方法も効果的です。
目や視覚の変化への対応方法
高齢の犬や猫は視覚が徐々に衰え、物にぶつかったり、暗い場所での移動が困難になったり、強い光を嫌がるなどの行動が見られることがあります。また、白内障、緑内障、網膜萎縮症などの疾患が視力の低下を引き起こす場合もあります。
<核硬化症について>
核硬化症は高齢の犬や猫に見られる目の変化で、レンズ(水晶体)が硬くなり、青白っぽく見える状態を指します。視力低下は軽度で生活に大きな支障が出ることは少ないですが、進行すると視界がぼやけることがあります。
白内障とは異なり、生理的な加齢性変化で、厳密には病気ではないため治療の必要はありません。定期的に眼科検診を受けるようにしましょう。
<生活面でのサポート方法>
視覚の衰えを補うために、以下の工夫を取り入れてみてください。
・家具の配置を固定する
家具の位置を変えないことで、視覚に頼らずにペットが家の中を安全に移動できるようにします。
・段差や障害物を減らす
低い段差や障害物を取り除くことで、視力が低下しているペットが安心して動ける環境を整えます。
・明るさを調整する
夜間は薄明かりをつけることで、暗い中でも移動しやすくなります。
・音を活用する
声かけをしたり、鈴をつけたおもちゃを使ったりすることで、視覚以外の感覚で誘導してあげましょう。
日々のケアと健康管理のポイント
高齢期を迎えた愛犬や愛猫の健康を支えるためには、日々のケアと定期的な健康チェックが重要です。日常生活の中で心がけるべきポイントをご紹介します。
<食事と運動による基本的な生活管理>
高齢期の愛犬・愛猫にとって、栄養バランスの整った食事と適度な運動は、健康を維持するための基本です。
関節ケアのためのグルコサミンや、消化吸収をサポートする成分、良質なタンパク質などがバランス良く含まれたフードなど、年齢や体重、健康状態に応じたものを選びましょう。
食欲が落ちてきた場合は、嗜好性の高いウェットフードを混ぜるミックスフードを試すのも一案です。また、適度な運動を取り入れることで、筋力の維持や肥満予防に努めましょう。
<定期健診の重要性>
動物病院での定期健診は健康管理において欠かせないステップです。特にシニア期には、半年に1回程度の検診をおすすめします。
病気の兆候が現れる前に問題を見つけることで、治療の選択肢が広がり、症状を進行させずに管理できる可能性が高まります。例えば、初期の腎臓病や関節炎であれば、適切な治療で日常生活の質を保つことが可能です。
<ご家庭でできるケアと相談の目安>
愛犬や愛猫の健康を守るためには、日々の観察と適切なケアが欠かせません。ご家庭でできるケアと、異常を感じた際に獣医師に相談すべき症状についてご紹介します。
・毎日のブラッシング
毛並みや皮膚の状態をチェックする良い機会です。しこりや赤みが見られる場合は注意が必要です。
・排泄物の観察
尿や便の色、量、頻度を確認し、異常があれば記録しておきましょう。
・口腔ケア
歯磨きを習慣化し、口臭や歯茎の状態をチェックします。歯周病などの予防につながります。
ご家庭での日々の観察やケアの中で、もし以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院に相談してください。
・食欲不振や体重の急激な変化
・持続的な嘔吐や下痢
・歩行困難、痛がる様子、動きたがらない
・目の白濁や視力低下を疑う行動(ぶつかる、段差に躊躇するなど)
・夜泣きや徘徊などの認知症状の悪化
日常のケアを大切にしつつ、異常を感じたら早めに獣医師に相談することで、愛犬や愛猫の健康と快適な生活を支えることができます。
まとめ
高齢期の愛犬・愛猫にとって、日常生活のケアと定期的な健康チェックが健康維持の鍵となります。加齢に伴う変化は自然なものですが、飼い主様が寄り添い、細やかなケアを行うことで、愛犬や愛猫が穏やかなシニアライフを送ることができます。
当院では、飼い主様と愛犬・愛猫が安心して過ごせるよう、全力でお手伝いいたします。気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
◼️関連記事
犬と猫の健康診断(わんちゃんドック・ねこちゃんドック)
横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
当院の診療案内はこちら