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2024.05.22 犬と猫の歯周病について┃歯石取り(スケーリング)が大切

犬や猫が健康で長生きするためには、日々のケアが欠かせません。その健康を左右する大きな要因の一つに、歯の健康があげられます。実は、犬や猫も人間と同じように歯周病にかかることがあります。歯周病は痛みや不快感を引き起こすだけでなく、心臓病や腎臓病など全身の健康にも悪影響を及ぼすことが分かっています。

そこで今回は、犬と猫の歯周病や歯石、スケーリングについてお話します。

■目次
1.歯周病とは?
2.歯石ってなに?
3.歯周病になったときの症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.よくある質問

歯周病とは?

歯周病とは、歯肉炎と歯周炎の総称で、口の中の細菌が歯茎に感染して炎症を起こすものです。犬や猫も人間と同じように歯周病にかかることがあり、3歳以上の80%以上が罹患しているとも言われています。

歯周病の原因は、プラークと呼ばれる細菌の塊です。
プラークは、食べかすや唾液が歯と歯ぐきの間に溜まって形成され、プラークが放置されると、「歯石」に変化します。

 

歯石ってなに?

歯石とは、プラークが唾液中のリンやカルシウムなどを取りこんで硬く石灰化したもので、プラークは3〜5日ほどで歯石になります。
歯石は通常のブラッシングでは除去することができないため、獣医師によるスケーリングで除去する必要があります。

歯石が溜まると、以下の悪循環が生じます。

1.歯石の下に細菌が繁殖しやすくなる
2.歯茎の炎症が悪化する
3.さらに歯石が溜まる

この悪循環により、歯周病はどんどん進行していきます。

歯周病になったときの症状

初期には歯茎の赤みや腫れ、出血、口臭といった症状が現れます。放置されると、歯周病はさらに進行し、歯茎が徐々に退縮していき、歯根が露出するようになります。さらに進むと、歯がぐらついて抜けてしまったり、歯の周りの骨が破壊されることで鼻腔に穴が開いたり顎の骨が骨折したりする可能性もあります。

また、歯周病は単なる口内だけの問題ではありません。歯周病菌の毒素が血流に入り込むことで、心臓病や肝臓病・腎臓病など様々な病気に発展してしまうこともあります。

 

診断方法

視診のほか、頭部のレントゲン検査で歯槽や歯周組織の状態を確認します。

歯周病が進行している場合、レントゲン検査を行うことで、歯の根や顎の骨の状態を評価し、見た目ではわからない骨の吸収や歯の損傷が明らかになります。

 

治療方法

歯周病の治療は、進行度に応じて異なりますが、主に以下の方法が用いられます。

歯のスケーリング
歯垢や歯石を取り除くための治療法です。スケーリングには手動の器具や超音波スケーラーが使用され、歯の表面と歯肉の下にある歯石を徹底的に除去します。

スケーリングは痛みを伴う処置のため、犬や猫がストレスや痛みを感じないように全身麻酔下で行います

抗菌剤や抗炎症剤の投与
歯周病が進行している場合や感染が見られる場合、抗菌剤や抗炎症剤を投与して細菌の増殖を抑制します。

抜歯
頬に穴が開き化膿している場合やレントゲン検査で歯の根本が溶けていることが判明した場合、原因となる歯を全て抜歯します。

 

予防法やご家庭での注意点

歯周病を予防する最も効果的な方法は、毎日の歯磨きです。犬猫用の歯ブラシと歯磨き粉を使って、歯垢をしっかりと落としましょう。

歯磨きが苦手な場合は、デンタルガムやおもちゃを使って遊びながら歯垢を除去するのも効果的です。

また、定期的に動物病院で検診を受け、スケーリングで歯石を除去してもらうことも大切です。

当院では犬猫用の歯ブラシ、ペースト、ジェル、指にまくデンタルケアグッズなど、歯周病予防に必要な道具を購入することができます。また、ホームデンタルケアの方法や歯磨き指導も行っていますのでお気軽にご相談ください。

犬と猫の「歯の疾患(病気)」についてはこちらをご覧ください

 

よくある質問

Q.どれくらいのペースで通えばいい?
A.歯周病予防のためには、月に一度の定期的な歯科検診をお勧めします。特に、口腔内の健康状態が悪化しやすい高齢の犬猫は、定期的なケアが重要です。

Q.スケーリングっていくらくらいかかる?
A.スケーリングの費用は、犬猫の大きさや歯石の状態によって異なりますが、¥25,000〜¥40,000の範囲が目安です。歯石除去のため抜歯などは別途となります。詳しい費用については診察時に獣医師にご相談ください。

Q.家での歯磨きが難しい場合、どうすればいいですか?
A.初めての歯磨きは、愛犬愛猫が慣れるまで時間がかかることがあります。当院では、飼い主様と一緒に歯磨きの初歩段階からサポートしています。おやつなどを使ったご褒美を活用しながら、少しずつ歯磨きに慣れさせていく方法を指導いたします。

歯科検診は、予防接種やトリミング時に一緒に実施することも可能です。
疑問・質問などあれば、スタッフにお気軽にお問い合わせください。

横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
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