2023.11.20 フィラリア予防、最後までお忘れなく!
すっかり気温も下がり、11月初めの夏日が嘘のような気候になりましたね。
蚊の姿もあまり目にしなくなりましたが、フィラリア予防は最後が肝心です!
●フィラリア症とは??
ご存じの方が多いと思いますが、フィラリア症とは、蚊が媒介し動物へ感染する寄生虫が引き起こす病気です。
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリアと呼びます)をもった蚊に吸血されることにより感染が成立し、
犬の体内に侵入したフィラリアの幼虫は体内で場所を変えながら発育を続け、最終的には心臓に到達して成虫となります。
フィラリアが引き起こす病害はさまざまありますが、最も重篤で主たる病害は、
成虫が心臓の肺動脈や右心室に寄生することによる心不全と、急性に発症する大静脈症候群です。
軽症の場合は症状が出ないことも多いとされていますが、心不全や大静脈症候群に至った場合、
その治療は非常に困難で命に関わることがあります。
●フィラリア症の予防薬について
予防薬といいながらも、フィラリアの毎月のお薬は実は駆虫薬です。
蚊の吸血時に犬の皮膚から侵入したフィラリアの幼虫は、まず犬の皮下組織(皮下の脂肪や筋組織など)にとどまり成長します。
その後は血管に侵入し最終的な寄生場所である心臓へ移動して成虫になります。
フィラリアの幼虫が犬の皮下組織にとどまる期間は2カ月弱とされており、予防薬はこの期間の幼虫を駆虫するお薬なのです。
幼虫が血管に入ってしまった後は、予防薬を飲ませても効果がありません。
つまり、過去1か月の間に犬の体内に侵入してしまったかもしれないフィラリアの幼虫を駆虫するため、
フィラリアのお薬の多くは投薬間隔を1か月に1回と決められています。
(※一つのお薬でノミ・ダニにも効果があるタイプのお薬の場合、ノミ・ダニへの効果は投薬後1か月間持続する予防薬です)
物産アニマルヘルス パンフレットより引用
では、予防薬はいつからいつまで投薬すれば良いのでしょうか。
多くのメーカーさんでは、蚊が出現した1か月後から、蚊を見かけなくなった1か月後までを推奨しています。
つまり、予防薬の投薬期間は毎年の気温や地域により異なることになりますが、当院では5月~12月までの投薬をお願いしています。
物産アニマルヘルス パンフレットより引用
11月中に万が一フィラリアの幼虫に感染した蚊に刺されて感染していた場合、12月の投薬をしなければ、
フィラリアの幼虫はそのまま発育を続けてしまいます。
そのため、フィラリア予防は最後が肝心です。12月の投薬を忘れないようにしましょう。
●最後に
フィラリア症は古い病気、うちの子はお散歩にもあまり出ないし予防薬は必要ない、そう思われている飼い主様も多いのではないでしょうか。
確かに、横浜市のような都心部ではフィラリア症をみる機会は減ってきました。
しかし、万が一感染して発症してしまった場合、その診断や治療は非常に困難な場合があります。
フィラリア症は投薬をきちんとすれば100%防げる病気です。
少しでも病気のリスクを減らすためにも、当院はフィラリア予防薬の投薬を強く推奨いたします。
予防薬には様々な種類・価格のものがあります。ぜひご相談ください。