Allblog

2025.06.12 犬のレプトスピラ症ってどんな病気?梅雨・夏の感染リスクとワクチン対策

犬の感染症の中でも、特に梅雨や夏の時期に注意が必要なのが「レプトスピラ症」です。この病気は人にも感染する「人獣共通感染症」のひとつであり、ご家族の健康を守るうえでも軽視できません。

「うちは室内飼いだから大丈夫」「レプトスピラって、聞いたことはあるけどよく分からない」——そんな飼い主様に向けて、今回はレプトスピラ症の基礎知識と、かず動物病院での予防への取り組みをご紹介します。


■目次
1.レプトスピラ症とは?|水辺を介して感染する人獣共通感染症
2.神奈川県内でも感染報告が増加中
3.ワクチンで防げる?|6種・8種混合ワクチンの違いと選び方
4.こんな子は特に注意!ワクチン接種を考えたいケースとは?
5.まとめ

レプトスピラ症とは?|水辺を介して感染する人獣共通感染症

レプトスピラ症は「レプトスピラ属」という細菌によって引き起こされる感染症です。
発熱や元気消失、嘔吐、黄疸、腎不全などの症状が見られ、ときには急激に悪化して命に関わるケースもあります。特に、子犬や高齢の犬、基礎疾患をもつ犬では注意が必要です。

感染は“水”を通じて

この細菌は、ネズミなどの野生動物の尿に含まれていることが多く、それによって汚染された水や湿った土壌が主な感染源となります。

たとえば、散歩中の水たまりや川辺のぬかるみなども、感染のきっかけになることがあります。犬がこうした水に触れたり、飲んだりすることで、皮膚や粘膜から体内に細菌が入り込んでしまうのです。

特に梅雨から夏にかけては、水辺のレジャーや雨上がりの散歩などで汚染水に触れる機会が増え、感染リスクが高まります

人にも感染する感染症

レプトスピラ症のもうひとつの特徴は、人にも感染する「人獣共通感染症」であるという点です。たとえば、感染した犬の尿や血液に触れることで、飼い主様にうつってしまうことがあります。

特に、室内で一緒に過ごす時間が長い犬の場合は、ご家族への感染リスクにも気をつけなければなりません。愛犬の健康を守ることが、ご家族みんなの安心にもつながります。

神奈川県内でも感染報告が増加中

近年、神奈川県内ではレプトスピラ症の報告が増えており、2025年1月には藤沢市での発生も確認されています。

横浜市のように、自然が多く残る場所や水辺の公園、ハイキングコースが点在する地域では、散歩やレジャー中に汚染水に触れるリスクが比較的高いといえます。

また「街中しか歩かないから大丈夫」と思われがちな都市部でも、住宅街のみで生活していた犬が感染したと考えられるケースもあり、身近な水たまりなども感染経路となり得ます。

都市部に暮らす犬たちにとっても、決して無視できない感染症であることを知っておくことが大切です。

ワクチンで防げる?|6種・8種混合ワクチンの違いと選び方

レプトスピラ症は、ワクチンで予防できる感染症のひとつです。ただし、すべての混合ワクチンが対応しているわけではありません。

現在、犬に用いられる主な混合ワクチンには「6種」と「8種」があり、レプトスピラ症の予防には「8種以上」のワクチン接種が必要です。

それぞれの違いは以下のとおりです。

ワクチンの種類 対応する病気の数 レプトスピラの予防効果
6種混合ワクチン 6種類 含まれていない
8種混合ワクチン 8種類
(6種+2種のレプトスピラ)
含まれている(2型)

このほか、「9種(6種+レプトスピラ3種)」や「10種(6種+レプトスピラ4種)」といったワクチンも存在し、地域の感染状況や犬の生活環境に応じて選択されることがあります。

当院でも、以前は6種混合を基本としていましたが、地域での感染増加を受けて、現在は8種混合への切り替えを推奨しています。愛犬の生活スタイルや年齢、健康状態などを丁寧にヒアリングしたうえでワクチンプランをご案内しておりますので、ご不安な点があれば、いつでもお気軽にお声かけください。

こんな子は特に注意!ワクチン接種を考えたいケースとは?

以下のような犬は、レプトスピラ症のリスクが特に高いため、8種混合ワクチンによる予防をおすすめします。

水辺(川、湖、公園の水たまりなど)に行く機会がある
草むらや自然の多い場所が好き
梅雨〜夏にかけて外出が増えるご家庭
子犬、高齢犬、持病がある犬

「室内飼いだから」「これまで大丈夫だったから」といった油断が、思わぬ感染につながることもあります。たとえ行動範囲が限られていても、わずかな接触で感染するケースもあるため「うちは大丈夫」と思わずに、今のうちからしっかり予防をしておくことが大切です。

まとめ

レプトスピラ症は、犬だけでなく人にも感染する重大な感染症です。特に湿気の多い梅雨〜夏の時期には、水辺や湿った環境に触れる機会が増え、感染リスクが高まります。

神奈川県内でも報告がある以上、決して他人事ではありません。大切なご家族を守るために「正しい知識」と「今できる予防」が重要です。

かず動物病院では、地域の実情や愛犬の暮らし方に合わせて、ワクチンプランを丁寧にご提案しています。「こんなこと聞いていいのかな?」というご相談でも、遠慮なくお話しください。日々の安心のために、ぜひ一緒に予防を考えていきましょう。

◼️関連記事

 

横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
当院の診療案内はこちら