2025.05.12 【症例紹介】4歳6カ月ミヌエットの膀胱結石・尿道結石除去手術|血尿・頻尿は泌尿器トラブルのサインかも?
愛猫が何度もトイレに行ったり、血が混じったおしっこをしていたりすると、「大丈夫かな?」と心配になりますよね。
実はこうしたサインの陰には、膀胱や尿道に「結石」ができているケースも少なくありません。
今回は、血尿や頻尿の症状で来院されたミヌエットの男の子が、膀胱結石と尿道結石の診断を受け、手術によって元気を取り戻した症例をご紹介します。
■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査と治療方針
4.手術の流れ
5.術後の様子と経過
6.膀胱結石・尿道結石とは?
7.まとめ|膀胱結石・尿道結石は早めの対処が大切です
症例情報(概要)
・猫種:ミヌエット
・年齢:4歳6カ月
・性別:去勢オス
・体重:4.6kg
・主訴:血尿・頻尿
・病名:膀胱結石・尿道結石
・処置内容:膀胱結石・尿道結石除去手術(膀胱切開)
・術後経過:麻酔からの覚醒良好/翌日から食欲・元気あり/経過良好
ご相談内容とご来院時の状態
今回のご相談は「おしっこの回数が増えている」「血が混じっているように見える」といった症状がきっかけです。排尿時の様子を見て違和感を抱かれた飼い主様が、早めに来院してくださいました。
診察で膀胱や尿道の異常が疑われたため、詳しい検査を進めることになりました。
検査結果と治療方針
レントゲン検査を行ったところ、膀胱内と尿道に結石が確認されました。さらに尿検査で血液反応と尿路感染も認められたため、まずは1週間の内服治療で感染のコントロールを行いました。
その後、結石の除去手術を実施することになりました。
手術の流れ
安全に手術を行うため、手術当日には術前検査を実施のうえ、手術を行いました。
<術前検査>
・血液検査:全身状態や内臓機能の確認
・レントゲン検査:膀胱結石や尿道結石の位置・大きさの確認
<手術内容>
今回の症例では、尿道内にあった結石はカテーテルを使って膀胱内へ押し戻すことができたため、膀胱を切開しての結石除去のみで対応することができました。
①尿道内の結石をカテーテルで膀胱内に押し戻す
尿道に詰まっている結石を、カテーテルを使って膀胱側に戻すことで、尿道を傷つけずに処置することができます。
②膀胱切開による結石除去
膀胱を切開し、膀胱内にたまった結石を一つひとつ丁寧に取り除きます。取り除いた結石は、今後の再発予防のために成分分析に出します。
③膀胱の縫合
結石除去後は膀胱を丁寧に縫合し、手術終了です。
術後の様子と経過
術後の状態もとても良好で、翌日には食欲や元気も戻り、普段どおりに過ごせるようになりました。術後2日ほどで血尿もおさまり、問題なく退院されました。
取り除いた結石は成分分析に出し、その結果に合わせて専用の食事管理をスタート。現在は、食事の変更と定期的な尿検査を継続し、良好な経過をたどっています。
膀胱結石・尿道結石とは?
膀胱結石や尿道結石は、尿の中に含まれるミネラル成分が結晶化して石のように固まってしまう病気です。
特にオスの猫は尿道が細く長いため、膀胱でできた結石が尿道に詰まってしまい、排尿困難や尿閉(おしっこが出なくなる)を引き起こすことがあります。
結石の種類によっては、専用の療法食による管理で溶かせるものもありますが、大きさや場所によっては手術が必要になることもあります。
<主な症状>
・血尿
・頻尿(トイレに何度も行く)
・おしっこが出にくい、出ない
・おしっこ時に痛がる、鳴く
・元気や食欲の低下
結石は放置すると腎臓にまで悪影響を及ぼすこともあるため、早めの発見と治療が重要です。
まとめ|膀胱結石・尿道結石は早めの対処が大切です
膀胱結石や尿道結石は、猫にとって身近な泌尿器トラブルのひとつです。特にオス猫は尿道が細いため、結石による尿道閉塞は命に関わる状態になることもあります。
今回のように血尿や頻尿など、いつもと違うおしっこの症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。症状が軽いうちに治療ができれば、手術を避けられたり、再発予防の管理がしやすくなったりします。
気になる症状がある場合は、どうぞお早めにご相談ください。
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