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2024.07.18 犬と猫の皮膚炎について┃アレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

近年、犬や猫の皮膚炎は非常に多くなっており、保険請求の理由としても上位に入っています。なかでも、皮膚炎の発症に免疫反応が関係しているアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は、症状を繰り返すことが多く、飼い主様にとっても愛犬・愛猫にとっても悩ましい病気です。特に暑くなってくるこの時期は症状が悪化するケースが多く、注意が必要です。

犬と猫がかかりやすい皮膚病についてこちらで詳しく解説しています

そこで今回は、免疫反応が関連して生じるアレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎に焦点を当ててお話します。

■目次
1.犬と猫の皮膚炎とは?
2.皮膚疾患の主な症状
3.自宅でできるケアと予防法
4.診断方法
5.治療方法
6.長期的な管理の必要性
7.まとめ
8.よくある質問

犬と猫の皮膚炎とは?

犬と猫の皮膚疾患には様々な種類がありますが、今回は「アレルギー性皮膚炎」と「アトピー性皮膚炎」について簡単に解説します。

アレルギー性皮膚炎

特定のアレルゲン(食物、ノミ、ダニなど)が原因で起こる皮膚炎の総称です。IgE抗体やリンパ球などの免疫反応が関与し、皮膚の炎症やかゆみを引き起こします。

ノミ・ダニ予防と重要性についてはこちらで詳しく解説しています

アトピー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎の一種で、遺伝的素因と環境因子などが複雑に絡み合い、皮膚のバリア機能が低下することで起こる皮膚炎です。また、IgE抗体の関与も指摘されています。犬や猫の場合、花粉やダニ、ハウスダストなどの環境アレルゲンが症状を悪化させることが多く、強い痒みと皮膚の炎症が特徴です。

どちらも若齢での発症が多く、強いかゆみが特徴です。

 

皮膚疾患の主な症状

皮膚の赤み、腫れ、かさぶた
特に顔周辺、首の下、脇の下、腹部、四肢の先端に多く現れます。

激しいかゆみ
掻き壊しによる傷や脱毛が見られることもあります。

慢性的な炎症
皮膚が厚くなったり、色素沈着(皮膚が黒くなる)したりすることがあります。

外耳炎
耳垢の増加、耳の臭いがきつくなる、さらには中耳炎に発展することもあります。

これらの症状は加齢とともに悪化する傾向があるため、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を持つ犬や猫は定期的な診察と継続的な治療が重要です。

 

自宅でできるケアと予防法

皮膚を清潔に保つことが基本であり、最も重要です。

定期的なブラッシングとシャンプー
定期的に犬や猫の毛をブラッシングし、清潔な状態を保つことが皮膚炎の予防に繋がります。特にシャンプーは、アレルゲンを洗い流す効果があり、皮膚の健康を保つために重要です。シャンプー方法も色々ありますので、その子に合った方法を都度ご指導します。

適切な食事管理
アレルゲンとして食物が疑わしい場合には、獣医師と相談しながら低アレルギー食に変更しましょう。また、アトピー性皮膚炎の場合は、オメガ脂肪酸が含まれた皮膚サポートフードを与えることが有効な場合もあります。

室内環境の整備
清潔な室内環境を保ち、ホコリやダニを減らすことも予防に役立ちます。また、空気清浄機を設置するのも効果的です。

 

診断方法

問診と視診で以下の情報を聴取し、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の可能性を確認します。

・初発年齢
・皮膚症状の部位
・季節性の有無
・飼育環境
・同居動物の症状の有無

除外診断として、セロテープ検査や掻爬検査を行い、細菌性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎、毛包虫症など症状が似ている疾患との鑑別を行います。

また、重症の子などは血液検査でアレルギー検査(血中のIgEやリンパ球反応)を実施することもあります。

 

治療方法

治療法には内服薬、外用薬、シャンプー、低アレルギー食、免疫療法、サプリメントなどがあります。症状によりこれらを組み合わせて治療を行います。

軽症〜中等
痒みの程度に応じて痒み止めや抗炎症剤などの内服薬や外用薬を選択し、皮膚状態に合ったシャンプーでの薬浴を行います。繰り返す場合は食事の変更(タンパク源や炭水化物源の異なる一般食など)も行います。

重症
・急性期
ステロイドの内服やシャンプー療法、皮膚状態に応じて必須脂肪酸などのサプリメントを使用します。

・慢性期
継続可能な内服薬(シクロスポリン・オクラシチニブなど)や注射薬(ロキベトマブなど)に加えて外用薬を併用したりします。
また、継続的なスキンケア(シャンプー・保湿・サプリメントなど)も重要です。
重症例ではアレルギー検査、免疫療法、減感作療法、除去食試験を実施することもあります。

皮膚疾患は一度治ったように見えても再発することが多いため、症状が良くなったように思っても、自己判断で治療を止めないことが大切です。また、アレルギーやアトピーの動物は、ご自宅でのシャンプーも重要です。

ご自宅でのシャンプーが難しい場合は、病院で処置を受けることも可能ですので、お気軽にご相談ください。

 

長期的な管理の必要性

アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は体質のため、生涯付き合っていく必要があります。そのため、薬の量を調節したりサプリメントを併用したりなど、いい状態をどうやって維持していくかが重要になります。症状が出たら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

個体差はありますが症状が落ち着いてきたら、投薬頻度を減らし、1日2回〜1回へ、1日おきへというように調整しながら継続していきます。重症の子の場合も、症状が改善しても薬をやめるのではなく、頻度を減らして投薬を続けることで、再発の予防が考えられます。

 

まとめ

アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は、定期的に動物病院で診察を受け、症状に合わせて適切な治療を継続することが重要です。また、薬だけでなく、シャンプーやブラッシングなどの日頃の皮膚ケアも大切です。愛犬や愛猫に皮膚炎の疑いがある場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。早期発見・早期治療が、皮膚炎の悪化を防ぐために重要です。

他にも疑問・質問などあればお気軽にお問い合わせください。

 

よくある質問

Q. 人間用の薬を使っても大丈夫?
A. 動物病院で獣医師に相談してから使用してください。人間用の薬は、動物にとって適切な成分や量が含まれていない場合があり、症状を悪化させる可能性があります。また、動物に使用できる薬と使用できない薬があるため、獣医師に処方してもらうことが重要です。

Q. 完治はするの?
A. アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎は、完治が難しい病気です。しかし、適切な治療とスキンケアを行うことで、症状をコントロールし、愛犬愛猫の快適な生活を維持することができます。

Q. 治療にかかる期間はどれくらい?
A. 治療方針や期間はご予算に応じて相談可能です。お気軽にご相談ください。

Q. 1回病院で診てもらったらもうOKなの?
A. 症状が改善しても、再発することが多いため定期的に動物病院で診察を受け、皮膚の状態をモニタリングすることが大切です。また、当院では皮膚のケア方法や、アレルゲンを避けるための対策などについてもアドバイスすることができますので、わからないことがあれば、お気軽にご相談ください。

横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
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