2024.03.21 犬と猫の避妊去勢手術の重要性
犬と猫を飼う上で、飼い主様が直面する大きな決断の一つに避妊去勢手術があります。この手術では、望まない妊娠を防ぐだけでなく、乳腺腫瘍や前立腺疾患などの性ホルモンに関連する病気や発情期にみせる問題行動を予防するなど、さまざまなメリットがあります。
そこで今回は、犬と猫における避妊去勢手術の重要性について詳しくお話します。
■目次
1.犬・猫の避妊手術
2.犬・猫の去勢手術
3.避妊去勢手術を行う理由
4.犬と猫の避妊去勢手術のタイミング
5.避妊・去勢手術のメリット・デメリット
6.術後の注意点
7.まとめ
犬・猫の避妊手術
避妊手術は、全身麻酔下でおへその下を数センチ切開し、「卵巣と子宮」または「卵巣のみ」を摘出することによって行われます。
当院では、前者の「卵巣と子宮」の両方を摘出する方法で避妊手術を行っています。
避妊手術において、お腹の中の血管を縫合糸で結紮(けっさつ)すると縫合糸肉芽腫という塊ができてしまうことがありますが、当院ではそういったことが起こらないようシーリングシステムを導入しており、糸をお腹の中に残さない方法をとっています。
犬・猫の去勢手術
去勢手術は、「陰嚢(猫)」または「陰嚢の少し上の皮膚」を数センチ程度切開し、1箇所の切開創から2つの精巣を摘出することによって行われます。
避妊去勢手術を行う理由
避妊や去勢手術は、性ホルモンの関与が指摘される病気を予防できます。
メスの場合、乳腺腫瘍や卵巣腫瘍、子宮蓄膿症などが予防でき健康寿命を伸ばすことができます。
オスの場合、前立腺疾患や精巣腫瘍、会陰ヘルニアなどの予防ができ、メス同様に健康寿命を伸ばすことができます。
これらの疾患は治療が難しいものも多く、愛犬愛猫の苦痛だけでなく、飼い主様の精神的、経済的負担を減らします。
また、発情期には愛犬愛猫が鳴きやすくなったり、マーキングや攻撃性が増すことがあります。しかしこれらの問題行動は、避妊・去勢手術をすることにより軽減あるいはなくすことができます。
これらの理由が、早期の避妊・去勢手術をおすすめする理由です。
犬と猫の避妊去勢手術のタイミング
・猫の場合
国際猫医学会のガイドラインにおいて、生後4カ月齢以前の早期の手術がオス・メスともに推奨されています。その理由は望まない出産を避けるためであり、早期の手術による害は無いとしています。
しかしながら、若齢であればあるほど、全身麻酔によるリスクは高まります。
・犬の場合
猫のような明確なガイドラインはありません。性成熟を迎える6ヶ月ごろに手術を行うのが一般的です。
しかしながら、ゴールデンレトリバーなど一部の大型犬種では早い時期に手術を行うと、関節疾患や腫瘍疾患のリスクが増す、という報告もあります。
特にメスの場合、初回発情を迎える前に避妊手術を行うことで「犬はほぼ100%、猫はおよそ85%」乳腺腫瘍の発症率を下げることができるとされています。
当院では以上のことを踏まえ、基本的には犬と猫ともに性成熟を迎える生後約6ヶ月頃の手術を推奨していますが、猫ちゃんをオス・メスで新しくお迎えした場合や、大型犬を飼っている場合は、飼い主様とご相談のうえ手術の時期を決定しています。
避妊・去勢手術のメリット・デメリット
犬や猫の避妊去勢手術はメリットが大きいですが、デメリットもあります。
メリット | デメリット | |
避妊手術 |
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去勢手術 |
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避妊去勢手術は比較的小規模な手術ではありますが、全身麻酔をかけて身体にメスを入れるため、少なからずリスクを伴います。飼い主様は獣医師からの説明を十分に理解し、納得されたうえで手術を受けさせることが大切です。
術後の注意点
手術後、メスは雌性ホルモンの分泌がなくなり食欲が促進される一方で生体に必要なカロリーが減少します。そして、オスは雄性ホルモンの分泌がなくなると、筋肉ではなく脂肪がつきやすくなります。メスと同様に生体に必要なカロリーも減少するため肥満になりやすくなる傾向があります。
肥満にならないよう、術後はこれまで以上に食事管理や体重管理をしっかりと行い、肥満を防ぎましょう。
まとめ
愛犬愛猫に避妊去勢手術を行うことに不安を感じる飼い主様も多いかと思いますが、手術を受けることは、望まぬ妊娠から愛犬愛猫を守るだけでなく、病気の予防や発情による問題の解決にもなります。愛犬や愛猫の健康を守っていくためにも、検討していくことをおすすめします。
また、手術を受けるタイミングやデメリットなど心配な点があれば、ぜひ当院へご相談ください。
横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
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