2025.12.24 【症例紹介】9歳2カ月柴犬の乳腺腫瘍切除術|診断から治療・予防までを解説
「最近、おなかにしこりのようなものがあるような気がする…」そんな“ちょっとした違和感”に気づくことが、病気の早期発見につながる大切なきっかけになることがあります。
今回は、乳腺に2カ所のしこりが見つかった柴犬の症例について、診断から手術、そして現在の経過までをご紹介します。

■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査結果と治療方針
4.手術と治療の流れ
5.術後の様子と現在の経過
6.乳腺腫瘍と避妊手術について
7.まとめ
症例情報(概要)
・種類:犬(柴犬)
・年齢:9歳2カ月
・性別:避妊メス
・体重:10.0kg
・主訴:おなかに2カ所のしこり
・病名:乳腺腫瘍
・処置内容:両側乳腺腫瘍切除術
・現在の経過:術後2年、再発・転移なく良好に経過
ご相談内容とご来院時の状態
「おなかにしこりが2つ触れる」とのことでご来院いただきました。
診察では、左右の第4乳腺部に数センチ大のしこりを1カ所ずつ確認しました。触診では痛がる様子もなく、元気・食欲ともに安定していましたが、状態をより正確に把握するため、詳しい検査を進めることになりました。
検査結果と治療方針
まず、しこりの性質を調べるために「針吸引細胞診(しんきゅういんさいぼうしん)」を行いました。これは細い針でしこりの細胞を採取し、顕微鏡で状態を確認する検査です。
検査の結果、腫瘍が疑われる細胞が確認され、乳腺腫瘍と診断しました。
乳腺腫瘍は、見た目や触っただけでは良性か悪性かを区別することが難しく、複数のしこりが同時に存在する場合、良性・悪性が混在するケースも珍しくありません。また、放置すると大きくなったり、転移のリスクが高まることもあります。
こうした点を踏まえ、できるだけ早くしこりを取り除き、性質を確かめることが最適と判断し、飼い主様と相談のうえ 「乳腺腫瘍切除術」 を行う方針となりました。
手術と治療の流れ
治療は次のように進めました。
① 手術前検査
手術当日に血液検査・レントゲン検査などを行い、麻酔と手術を安全に行える状態であることを確認したうえで手術を実施しました。
② 両側乳腺腫瘍切除術
左右の乳腺にある腫瘍を切除しました。
切除した組織は、より詳しく調べるために病理検査へ提出します。
③ 病理検査
腫瘍の種類や悪性度、取り切れているかどうかを確認するために実施します。
術後の様子と現在の経過
手術後は大きな痛みも見られず、食欲・元気ともに良好。傷の治りも順調で、経過を見ながら無事に抜糸を行いました。
病理検査の結果は、
・1つは悪性腫瘍
・もう1つは良性腫瘍
・いずれも完全切除
というものでした。
その後も定期的に再発や転移がないか慎重に経過を見守っていますが、現在まで2年間、再発・転移ともに認められず、元気に過ごしています。飼い主様も大変安心されたご様子でした。
乳腺腫瘍と避妊手術について
乳腺腫瘍は、犬では特に発生が多い腫瘍のひとつです。その発生にはホルモンが深く関わっており、初回発情前に避妊手術を行うと発生率をほぼ100%、2回目発情前でも約90%予防できるといわれています。
今回の症例では避妊手術の時期が5~6歳であったことから、一般的に乳腺腫瘍のリスクが高まりやすい状況にあったと考えられます。それでも、飼い主様が早い段階でしこりに気づき、適切に検査と治療を行えたことによって、良好な経過を得ることができたケースです。
乳腺腫瘍のリスクを減らすうえで、避妊手術は大切な選択肢のひとつです。時期について迷われている場合や、乳腺周囲の変化が気になる際には、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
まとめ
乳腺腫瘍は、早い段階で気づいて対処することで治療の選択肢が広がり、良い経過につながりやすい病気です。今回の症例のように、日頃のふとした気づきが大切なサインになることも少なくありません。
また、乳腺腫瘍の発生リスクを減らすうえで、避妊手術は非常に有効な予防手段です。手術のタイミングによって予防効果が大きく変わるため「いつ頃がいいのかな…」と迷われた際は、ぜひ早めにご相談いただくことをおすすめします。
当院では、しこりのチェックから検査・治療、予防のご相談まで、一つひとつ丁寧にサポートしています。気になる変化があったときや、避妊手術について悩まれたときには、どうぞお気軽にご相談ください。
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