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2025.05.12 【症例紹介】8歳2カ月MIX犬の子宮蓄膿症|元気がない・歩かない…早めの受診が命を守るカギ

いつもは元気いっぱいの愛犬が、なんとなく元気がなかったり、すぐに横になってしまったり…。そんな日が続くと、「少し疲れているだけかな?」と様子を見てしまうこともあるかもしれません。

しかし、こうした症状の裏には、重大な病気が隠れていることもあります。

今回は、元気や食欲の低下、歩くのも辛そうになってしまったMIX犬の女の子が、子宮蓄膿症と診断され、手術によって元気を取り戻した症例をご紹介します。

■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査と治療方針
4.手術の流れ
5.術後の様子と経過
6.子宮蓄膿症とは?
7.まとめ|子宮蓄膿症は「早めの受診」が何より大切

症例情報(概要)

犬種:MIX犬
年齢:8歳2カ月
性別:メス
体重:6.8kg
主訴:元気消失・歩行困難
病名:子宮蓄膿症
処置内容:全身麻酔下での子宮・卵巣摘出手術
術後経過:麻酔からの覚醒良好/翌日から元気・食欲回復/歩行可能に

ご相談内容とご来院時の状態

ここ2週間ほど元気がなく、歩くことも辛そう」とのご相談でご来院いただきました。
ご自宅では立ち上がることはできるものの、すぐに伏せてしまい、動きたがらない様子。全身がだるそうに見え、いつもの元気な姿とは異なる状態でした。

検査結果と治療方針

詳しい検査を行った結果、子宮の中に膿がたまっている「子宮蓄膿症」であることが判明しました。今回は、血液検査・レントゲン検査・超音波検査の3つを組み合わせて、身体の状態や病気の進行度を確認しました。

検査内容

血液検査:炎症や感染の程度、内臓の状態を確認
レントゲン検査:子宮の大きさや他臓器への影響を確認
超音波検査:子宮内部の状態を確認

子宮蓄膿症は、放置すると体内に膿がたまり、命に関わる危険な病気です。診断がついた段階で、検査結果に問題がなければ、速やかな手術による対応が必要となります。

手術の流れ

子宮蓄膿症の治療は、基本的に外科手術が必要となります。

まずは手術を安全に行うために、術前検査で全身の健康状態を詳しく確認しました。検査の結果、麻酔のリスクは低く、手術に耐えられる状態であることが確認できたため、全身麻酔下で子宮と卵巣を摘出する手術を実施しました。

麻酔管理では、複数の薬剤を適切に使い分けながら、術中の体調が安定するよう細やかにコントロールを行い、手術は無事に終了しました。

術後の様子と経過

麻酔からの覚醒も問題なく、手術翌日には食欲や元気が戻り、自力で歩けるようになりました。その後は順調に回復し、退院後は以前のように元気いっぱいに過ごせています。

子宮蓄膿症とは?

子宮蓄膿症は、主に避妊手術を受けていない中〜高齢のメスの犬に多い病気です。子宮の中に膿がたまってしまい、体内で感染症が広がることで命に関わる状態になります。

初期の症状はわかりにくいこともありますが、次のような変化が見られることがあります。

子宮蓄膿症の主な症状

・元気や食欲がない
・水をたくさん飲む
・お腹が膨らんでいる
・陰部から膿や血の混じったおりものが出る
・歩きたがらない・だるそう

放置すると、感染が全身に及び、多臓器不全やショック状態に陥ることもあります。早期発見・早期治療がとても重要な病気です。

今回の症例のように早期に発見し、速やかに手術を行うことで、スムーズな回復につながる可能性が高くなります。

まとめ|子宮蓄膿症は「早めの受診」が何より大切

子宮蓄膿症は、症状が出にくいこともあり、気づいたときには命に関わる状態になっていることも少なくありません。

特に避妊手術を受けていない女の子の犬で「最近元気がない」「水をたくさん飲むようになった」「動きたがらない」などの様子が見られたら、早めの受診をおすすめします。

子宮蓄膿症は、早期発見・早期治療ができれば、今回の症例のように元気な姿を取り戻せる可能性が高い病気です。「もしかして…」と少しでも気になる変化があれば、お気軽に当院までご相談ください。

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