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2024.04.26 ノミ・ダニ・フィラリアの予防と重要性

春はお散歩やお出かけが楽しい季節ですが、同時にノミやダニが活発化し、フィラリア症を媒介する蚊も増え始めるため注意が必要です。これらの寄生虫は、愛犬愛猫の健康を脅かすだけでなく、時には人間にも病気を広げる可能性があります。このため、春はノミ・ダニ・フィラリア予防を始める大切な時期です。

そこで今回は、ノミ・ダニ・フィラリアの予防と重要性についてお話します。

■目次
1.ノミ・ダニ・フィラリア対策は必要?
2.ノミ・ダニ・フィラリアがもたらす病気
3.ノミ・ダニ・フィラリア予防をしないリスクは?
4.ノミ・ダニ・フィラリアの予防方法
5.日常で予防するためにご家庭で注意すること
6.よくある質問

ノミ・ダニ・フィラリア対策は必要?

ノミ・ダニ

ノミやダニ(マダニ)は犬や猫の体表に寄生する外部寄生虫で、血を吸ったり、痒みを起こしたりするだけでなく、さまざまな感染症を媒介します。犬や猫の体表が暖かく、栄養たっぷりの血をいつでも吸うことができ、外敵もいない最高に過ごしやすい環境です。

一度寄生すると、寄生虫はそこで卵を産み、ねずみ算式に数を増やします。これらの卵は家のカーペットや、毛布などにも落ち、そこでもノミやダニが増えるため、ひとたび侵入を許してしまうと、その後の駆除が非常に困難になります。

そのため、ノミやダニが犬や猫の体についてしまう前に予防をすることが重要なのです。

フィラリア

フィラリア症は、感染した犬や猫の血液を吸った蚊が他の犬や猫に吸血することで感染が広がる寄生虫(犬糸状虫)の病気です。フィラリアが成虫になってしまうと治療が非常に難しくなり、命に関わることもあります。

そのため、蚊の見られる季節にしっかり予防をすることが重要です。

 

ノミ・ダニ・フィラリアがもたらす病気

ノミが原因になる病気

瓜実条虫(サナダムシ)
ノミが媒介する代表的な寄生虫で、犬や猫に感染します。ノミの体内に寄生した幼虫が毛繕いなどで犬や猫の口に入り、小腸に寄生して成虫になり卵を産みます。寄生が重度になると消化器症状を示すことがあります。

ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液へのアレルギー反応により痒みや腫れ、湿疹、脱毛などを起こします。寄生しているノミの数が少なくても発症します。

猫ひっかき病
バルトネラ(細菌)に感染した猫に、人が噛まれたりひっかかれるとリンパ節が腫れたり、患部が化膿したり、発熱、頭痛などを起こす人獣共通感染症です。ノミが猫から猫への感染を媒介しますが、猫には症状がほとんどありません。

皮膚炎
ノミに刺された部分に痒みが起こることがあります。犬猫だけでなく、人間にも起こります。

貧血
ノミの寄生数が多いと、貧血を起こすことがあります。

ダニが原因になる病気

バベシア症
犬の赤血球に寄生して貧血、発熱、黄疸などを起こします。以前は西日本特有のものと考えられていましたが、近年では神奈川でも発生しています。

ヘモプラズマ症
猫の赤血球に寄生して貧血、発熱、関節炎などを起こします。

ライム病
マダニから犬や猫、人にも感染する人獣共通感染症です。マダニに刺された部分の赤い斑点や丘疹から紅斑が広がり、筋肉痛や頭痛などを起こします。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
致死率は10〜30%と言われており、人間においても死亡例が確認されている、危険な感染症です。この病気はマダニを介して感染するウイルス性の人獣共通感染症で、特にアウトドア活動時には注意が必要です。

日本紅斑熱
リケッチアという病原体が原因で、人間に発熱、全身の発疹を起こす人獣共通感染症です。

皮膚炎
マダニに刺された部位を中心に、痒みや腫れなど皮膚炎を起こします。

貧血
吸血された血が多いと貧血を起こすこともあります。

フィラリアが原因になる病気

細長いそうめんのような成虫が肺動脈に寄生するため、血液の流れが悪くなり、肺高血圧症から咳、呼吸困難などを起こし、最悪の場合は死に至ります

犬の病気というイメージが強いフィラリア症ですが、猫にも感染することがあります。猫の場合、寄生数が少ないため診断が難しく、未診断のまま突然死を引き起こすケースも少なくありません。現在、猫に対する確立された治療法は存在していません。

一方、犬にはいくつかの治療法がありますが、どれもリスクが高く命の危険を伴うため、やはり予防が最善の方法です。

 

ノミ・ダニ・フィラリア予防をしないリスクは?

ノミやダニは、その直接的な影響に留まらず、命に関わる重大な病気や人獣共通感染症を媒介する原因となり得ます。また、フィラリア症は、一度感染してしまうと治療が難しく命に関わります。

飼い主様のなかには「周りで罹患例を聞かないから、予防は不要だろう」と思われる方がいるかもしれません。
しかし、罹った犬や猫がほとんどいない=病気がないわけではありません。多くの飼い主様がしっかり予防をしてくださっているからこそ、地域での発生が少ないのです。
しかし、残念ながら全ての飼い主様が予防をしているわけではありません。横浜市内でも、フィラリア予防を怠ってしまったことによるフィラリア症の発生例が確認されています

また、治療費は予防費に比べて高額になることが多いです。

 

ノミ・ダニ・フィラリアの予防方法

ノミ・ダニの予防方法としては、月に1回または3カ月に1回、皮膚に滴下する「スポットタイプ」、「錠剤」、お肉のような「チュアブルタイプ」によって予防ができます

ノミは気温が13℃以上になると、ダニは一年中吸血や繁殖をするため、13℃を上回る時期は特に予防が重要です。とはいえ室内の温度が13℃を下回ることはほとんどないため、ノミ・ダニ予防は通年で行っていただくことをおすすめしています

フィラリア予防の方法も同様に「スポットタイプ」や「錠剤」、「チュアブルタイプ」を月に1回使用してあげる、または注射薬を年に1度注射することで予防ができます。フィラリアは蚊が発生する時期に合わせて、当院では5月から12月の投与が推奨されています

フィラリア予防、最後までお忘れなく!

また、近年では、ノミ・ダニ・フィラリアの全ての感染を1粒飲むだけで、予防できるオールインワンタイプの薬も存在します

予防薬には様々な種類・価格のものがあります。ぜひご相談ください。

 

日常で予防するためにご家庭で注意すること

ノミやダニは公園や山林の草むらに一年中生息しています。暖かくなると活動が活発にはなりますが、いつでもノミやダニに寄生される可能性があるため、草むらに入らないよう注意しましょうもし、愛犬愛猫が草むらに入ってしまった場合は、帰宅後にしっかりブラッシングをしてあげてください

なお、万が一、愛犬や愛猫にノミやダニの寄生を見つけたら、ご自宅で対処する前に必ず動物病院にご連絡ください。特にダニは無理やり取ろうとすると頭だけが皮膚に残り、激しいアレルギー症状を起こすことがあります。

また、新しい犬や猫をお迎えする際は、ノミやダニなどがくっついていると先住犬や先住猫に移してしまうことがあるため、動物病院で診察を受けるまでは隔離するようにしてください。

 

よくある質問

Q.完全室内飼いでも予防は必要ですか?
A.動物が外に出なくても、人間が出入りする際に外からノミ・ダニ・蚊が入ることがあります。私たち人間が一日中家から出なくても蚊に刺されることがあるように、まったく外に出ない犬や猫でもノミやダニの寄生や、フィラリア症への感染リスクはあるため、予防は必要です。

Q.市販のノミ取りシャンプーやノミ予防の首輪などでは、予防になりませんか?
A.ホームセンターなどで売っている予防グッズでは十分な予防効果は得られません。
実際に、市販のものをつけていてもノミがついてしまったケースがあります。ノミ・ダニ・フィラリアの予防薬は必ず動物病院で処方してもらうようにしてください。

Q.薬を飲ませるのが苦手です
A.予防薬には、さまざまなタイプが販売されています。お薬を飲ませるのが苦手な子でも飲めるように、お肉の匂いと食感のチュアブルタイプのお薬もありますし、首の後ろに滴下するスポットタイプ、注射薬もあり、その子に合わせたものを選択できます。

Q.予防の費用はいくらくらいかかりますか?
A.ノミ・ダニ・フィラリア予防薬は、薬によって金額も使用間隔も異なります。もし金額面でご不安がある場合は、ご相談ください。

横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
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