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2026.02.12 【症例紹介】15歳4カ月ミックス猫の乳腺腫瘍切除|ホテル利用時の健康チェックがきっかけに

猫の体をなでているときなどに「こんなしこり、前からあったかな?」と気づくことがあります。

しこりと聞くと不安に感じる飼い主様も多いと思いますが、実際には良性のものから治療が必要な腫瘍まで原因はさまざまです。

今回は、ペットホテルご利用時の健康チェックをきっかけに「乳腺腫瘍」が見つかり、外科手術で切除を行った高齢猫の症例をご紹介します。

■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査結果と治療方針
4.治療と処置の流れ
5.術後の様子と経過
6.猫の乳腺腫瘍について
7.まとめ

症例情報(概要)

種類:猫(ミックス)
年齢:15歳4カ月
性別:避妊メス
体重:3.3kg
主訴:ペットホテル利用時の健康チェックで右脇のしこりを指摘
病名:乳腺腫瘍(病理検査で腺管癌と診断)
処置内容:乳腺腫瘍外科切除術
術後経過:食欲・元気ともに良好、転移は認められず経過観察中

ご相談内容とご来院時の状態

ペットホテルご利用のため来院された際、健康チェックの一環として全身を触診したところ、右脇(乳腺部)にしこりが確認されました

ご家庭では特に体調の変化はなく、食欲や元気も普段どおりとのことでした。そのため、飼い主様も「言われるまで気づかなかった」と驚かれていました。

乳腺付近のしこりは腫瘍性病変の可能性もあるため、詳しい検査を行うこととなりました。

検査結果と治療方針

まず、しこりの性質を確認するため、細い針で細胞を採取する細胞診検査を実施しました。その結果、乳腺腫瘍が強く疑われる所見が認められました。

猫の乳腺腫瘍は、約8割が悪性腫瘍(癌)といわれており、早期に外科切除を行うことが勧められる病気です。見た目が小さくても、時間の経過とともに大きくなったり、転移したりする可能性があるため、慎重な判断が必要になります。

そこで、年齢や体への負担も考慮しながら、検査結果や治療の選択肢について飼い主様に詳しくご説明し、今後の方針を一緒に相談しました。その結果、全身状態をしっかり評価したうえで、麻酔が可能であれば早期に外科切除を行う方針となりました。

治療方針

・術前検査で全身状態を評価
・麻酔が可能と判断できれば外科的切除を実施
・摘出後は病理検査で確定診断を行う

治療と処置の流れ

安全に手術を行うため、事前の全身評価を十分に行ったうえで、段階的に処置を進めました。

① 術前検査
手術当日に血液検査や画像検査を行い、内臓機能や全身状態を詳しく確認しました。
麻酔や手術に大きなリスクとなる異常がないことを確認したうえで、処置へ進んでいます。

② 乳腺腫瘍の切除手術
全身麻酔下で、右脇に確認された乳腺腫瘍を外科的に切除しました。
また、摘出した組織は見た目だけでは良性・悪性の判断ができないため、病理検査(顕微鏡で詳しく調べる検査)へ提出し、確定診断を行いました。

術後の様子と経過

術後の回復はとても順調で、食欲・元気ともに良好でした。傷口を過度に気にする様子もなく、抜糸まで問題なく経過しました。

病理検査の結果は悪性の腺管癌でしたが、幸いリンパ節などへの転移は認められませんでした。現在は、再発や転移がないかを確認するため、定期的な健康診断で経過観察を続けています。

猫の乳腺腫瘍について

猫の乳腺腫瘍は、シニア期の猫で比較的多く見られる病気のひとつです。

特徴として、次のような点が挙げられます。

悪性の割合が高い
進行が早いことがある
早期発見・早期切除が予後に大きく影響する

また、猫では若い時期に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発生リスクを大きく下げられることが分かっています。ただし、避妊の時期によっては十分に予防できない場合もあり、年齢を重ねてから発生するケースも少なくありません。そのため「避妊しているから安心」と考えるのではなく、日頃から体に触れて小さな変化に気づいてあげることが大切です。

実際、今回の症例もペットホテルご利用時の健康チェックがきっかけとなり、早い段階でしこりを見つけることができました。こうした“ちょっとした気づき”が、結果的に早期治療と良好な経過につながることもあります。

日々のスキンシップに加えて、動物病院での定期的な健康チェックや健康診断を活用することも、早期発見のための有効な方法のひとつです。

また、高齢であっても術前検査で全身状態を丁寧に評価することで、安全に手術を行える場合も多くあります。気になる変化があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

しこりは、見つけたときに「様子を見ようかな」と迷ってしまいがちな変化のひとつです。しかし、乳腺腫瘍のように、早めの対応がその後の経過を大きく左右する病気もあります。

特別な症状がなくても、定期的な健康チェックや診察を受けることで、思いがけない病気が早期に見つかることもあります。

かず動物病院では、猫の年齢や体調、ご家庭での生活環境も丁寧に伺いながら、その子にとって無理のない治療方法を一緒に考えることを大切にしています。「小さなしこりだけど大丈夫かな?」そんなときも、どうぞお気軽にご相談ください。

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