2024.08.22 うちの猫が食欲がないのに水をよく飲んでおしっこする!┃動物病院が教える受診のタイミングと考えられる病気について
愛猫の「食欲がないのに水をたくさん飲む」という行動に心配される方も多いのではないでしょうか?これは、単なる体調不良から重大な疾患のサインまで、さまざまな原因が考えられます。特に猫は体調の変化を隠しがちですので、早期発見と適切な対応が重要です。
そこで今回は、猫の食欲不振と多飲多尿について、その原因や対処法、そして動物病院を受診すべきタイミングについてお話しますので、ぜひ参考にしてください。
■目次
1.食欲不振について
2.多飲多尿について
3.食欲不振と多飲多尿が同時に起こる場合
4.ご家庭でできるケアと観察ポイント
5.動物病院を受診すべきタイミング
6.診断と治療について
7.まとめ
8.よくある質問
食欲不振について
愛猫が普段より食べる量が減り、その状態が2日以上続く場合、食欲不振といえます。この症状の原因は、「軽い夏バテ」や「胃腸炎」「腎不全」など様々です。
多飲多尿について
猫の正常な飲水量は1日に体重1kgあたり50〜60mlと言われております。これが80ml以上になると多飲と判断されます。また、尿量は1日に体重1kgあたり20〜30mlが正常の目安です。具体的に尿量を測るのは難しいですが、頻繁にトイレに行く、1回の排尿量が多いと感じる場合、多尿を疑いましょう。
多飲多尿は「腎不全」や「糖尿病」の代表的な症状で、食べているのに痩せる、以前より活発になる、よく鳴くなどの症状も見られる場合は「甲状腺機能亢進症」の可能性があります。
食欲不振と多飲多尿が同時に起こる場合
両症状が同時に起こる際は、腎不全や糖尿病が進行している状態の可能性が高く、放置すると危険です。すぐに治療を開始する必要があるため、出来るだけ早く動物病院を受診しましょう。
ご家庭でできるケアと観察ポイント
食欲不振の場合、猫の好みに合った食事を用意してみましょう。軽く温めると香りが立ち、食欲が増すことがあります。また、ペースト状やスープ状の食事は嗜好性が高く、水分も取れるためおすすめです。
なお、多飲多尿だからといって水分を制限せず、新鮮な水を十分に与えてください。
観察ポイントとしては、週に一度体重を測定し、変動を記録することや、尿の量、色、匂い、便の硬さや形状を観察することが重要です。
動物病院を受診すべきタイミング
以下の症状が見られる場合は、すぐに動物病院で診察を受けてください。
・24時間以上続く食欲不振
・急激な体重減少
・明らかな脱水症状(皮膚の弾力が失われる)
・血尿や非常に濃い尿
・持続的な嘔吐や下痢
一方、軽度の食欲不振や一時的な多飲多尿で元気がある場合は、1日程度様子を見ても良いですが、症状が悪化する場合や他の症状が現れる場合は早めに受診することをお勧めします。
また当院では、腎臓健診コースをご用意しています。腎不全は高齢の猫に非常に多い病気です。そして、早期から食事療法や投薬を始めることで、その後の予後が大きく変わる病気でもあります。ぜひ、腎臓健診コースをご利用ください。
診断と治療について
動物病院での診断は、問診、身体検査、血液検査、尿検査、画像診断などを行います。問診では、飼い主様から症状や行動の変化について詳しく聞き取り、血液検査では腎機能や血糖値、ホルモンレベルなどを測定し、尿検査では尿の濃さや糖、蛋白質の有無を確認します。必要に応じてX線や超音波検査も行われます。
治療は診断結果に基づいて行われ、腎不全の場合、薬物療法、食事療法、水分補給などを行います。糖尿病の場合、インスリン注射による血糖管理が必要です。
まとめ
猫の食欲不振や多飲多尿は、深刻な病気のサインであることが多いため、早期の発見と対応が重要です。そのためには、日頃から愛猫の様子を飼い主様がよく観察し、しっかりと健康管理を行うことが重要です。また、愛猫の健康状態を気軽に相談し、信頼して治療を行える動物病院を見つけておきましょう。
よくある質問
Q.うちの猫が1日食べなかっただけでも病院に行った方がいいですか?
A.一時的な食欲不振であれば様子を見ても良いですが、24時間以上続く場合や他の異常が見られる場合は早めに受診してください。
Q.水をよく飲むようになったのですが、これって多飲多尿と言えるのでしょうか?
A.1日に何mlの水を飲んでいるのか計測してみてください。80ml/kg/日以上で多飲です。
Q.食欲不振と多飲多尿が同時に起こっています。緊急性は高いですか?
A.両方の症状が同時に起こる場合は腎不全や糖尿病などの可能性があり、緊急性が高いです。早急に動物病院を受診してください。
Q.食欲不振のとき、人間の食べ物をあげても良いですか?
A.人間の食べ物は猫にとって有害な場合があります。食欲がない場合でも、猫用の適切な食事を与えるようにしましょう。
Q.多飲多尿だけど元気はあります。すぐに病院に行く必要がありますか?
A.糖尿病や甲状腺機能亢進症は元気がなくならなかったり、逆に以前よりも元気になることがあります。多飲多尿が明らかならば病院を受診してください。
Q.食欲不振と多飲多尿の症状が出たり消えたりを繰り返しています。これも要注意ですか?
A.はい、症状が出たり消えたりを繰り返す場合も注意が必要です。根本的な原因を特定するために獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
他にも疑問・質問などあればお気軽にお問い合わせください。
横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
当院の診療案内はこちら