2026.01.09 猫が薬を飲まない!安全で正しい薬の飲ませ方を獣医師が解説
猫の薬の飲ませ方に悩み、試行錯誤しては「どうしてもうまくいかない…」と感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫は警戒心が強く、少しの違和感でも敏感に反応するため、無理に飲ませようとして失敗してしまうこともあります。
今回は、猫が薬を嫌がる理由を整理したうえで、安全に配慮した飲ませ方のポイントや、困ったときの相談先について、獣医師の視点から解説します。

■目次
1.猫が薬を嫌がる理由を知ろう
2.薬のタイプ別|飲ませ方のコツ
3.無理をしないことが大切|「飲ませ方」よりも「安全」が最優先
4.動物病院でできるサポート
5.まとめ
猫が薬を嫌がる理由を知ろう
まず知っておいていただきたいのは、猫が薬を嫌がるのは性格の問題ではないということです。猫は苦味やにおいにとても敏感で、薬特有の刺激をすぐに察知します。これは“わがまま”ではなく、体に入る異物を避けようとする本能的な防御反応です。
そのため、力ずくで押さえつけて飲ませようとすると、
・強い恐怖心が残る
・次回以降、さらに投薬が難しくなる
といった悪循環につながることもあります。
大切なのは「なぜ飲まないのか」を理解したうえで、猫にとって負担の少ない方法を選ぶことです。飼い主様と猫との信頼関係を守りながら投薬を続ける工夫が、治療をスムーズに進める第一歩になります。
薬のタイプ別|飲ませ方のコツ
猫に処方される薬にはいくつかのタイプがあり、薬の形によって、飲ませやすい方法や注意点が異なります。ここでは、よくある「錠剤・粉薬・液体薬」それぞれについて、無理のない与え方のポイントを整理します。
<錠剤(固形の薬)の場合>
錠剤は、比較的おとなしく触らせてくれる猫や、短時間で投薬できそうな場合に試しやすい方法です。
▼直接飲ませる場合の基本ステップ
①猫を後ろからやさしく抱え、体を安定させる
②あごを軽く上げ、口元を少し開く
③薬を喉の奥にそっと置く
④口を閉じ、数秒間のどをなでて飲み込むのを待つ
※無理に口を大きく開けたり、勢いよく押し込んだりする必要はありません。猫が強く嫌がる場合は、いったん中止しましょう。
「直接は難しそう…」と感じた場合は、無理に挑戦せず、薬をそのまま入れられるタイプの投薬補助おやつを活用する方法を検討するのもひとつです。薬のにおいや味を包み込むことで、猫の抵抗感を和らげやすいのが特徴です。
▼投薬補助アイテムを使うときのポイント
・いきなり薬を入れず、まずはおやつだけで慣らす
・薬はしっかり包み、ひと口で食べられる大きさにする
・無理に一度で飲ませようとせず、落ち着いたタイミングを選ぶ
ただし、すべての猫に合うわけではありません。途中で薬に気づいて吐き出してしまう子や、おやつ自体を警戒する子もいます。「補助アイテムを使っても難しい」「かえって警戒が強くなった」と感じた場合は、無理に続けず、別の方法を検討することが大切です。
<粉薬の場合>
粉薬は、フードやおやつに混ぜて与えられることが多い薬です。猫にとって受け入れやすい方法のひとつですが、与え方にはいくつかポイントがあります。
▼与え方のポイント
・ウェットフードやペースト状のおやつに少量ずつ混ぜる
・一度にすべて混ぜず、確実に食べきれる量で試す
ただし、薬によっては苦味が強く、フードに混ぜても口をつけなくなってしまうことがあります。
また、水に溶かしてスポイトで与える方法が検討されることもありますが、薬の種類によっては適さない場合があります。自己判断で方法を変えず、必ず獣医師に確認しましょう
<液体薬の場合>
液体薬は、スポイトやシリンジを使って少量ずつ与えるタイプの薬です。粉薬や錠剤が難しい猫でも受け入れやすいことがありますが、与え方には注意が必要です。
▼与え方のポイント
・口を無理に開けず、口の横(頬のすき間)から少しずつ入れる
・一気に流し込まず、数回に分けてゆっくり与える
・顔を上に向けすぎず、自然な姿勢を保つ
勢いよく与えてしまうと、むせたり誤って気道に入ってしまうおそれがあります。猫の様子を見ながら、落ち着いたペースで進めることが大切です。
また、液体薬の量や与え方は薬の種類によって異なります。「うまく飲ませられない」「嫌がってしまう」と感じた場合は、無理をせず、早めに獣医師へ相談しましょう。
無理をしないことが大切|「飲ませ方」よりも「安全」が最優先
猫が嫌がって暴れてしまうと、飼い主様も思わず力が入ってしまい、口の中を傷つけてしまったり、誤って薬が気道に入ってしまうおそれがあります。そのため、無理に飲ませようとしないことは、とても大切な判断です。
一度でうまく飲ませられなくても、決して失敗ではありません。投薬の目的は「一回で飲ませること」ではなく、安全に、無理なく治療を続けていくことです。
猫の性格や体調、その日のコンディションによっても、合う方法は変わります。どうしても難しいと感じたときは、いったん時間をおいて落ち着いてから再チャレンジしたり、方法そのものを見直すことも、猫を守る大切な選択のひとつです。
動物病院でできるサポート
動物病院では、投薬の際の姿勢やコツを実際に見ながら確認したり、飼い主様と一緒に練習したりすることができます。また、薬の種類によっては、粉薬や液体薬への変更、投薬補助食品の活用など、負担を減らす工夫ができる場合もあります。
投薬のお悩みは「こんなことで相談していいのかな」と感じてしまいがちですが、実際には早めに相談することでスムーズに解決できるケースも少なくありません。
かず動物病院では、投薬方法についてのご相談も大切な診療の一部と考えています。「うまく飲ませられない」「この方法で合っているか不安」など、どんなことでも構いません。投薬に不安を感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
猫が薬を嫌がるのは、決して珍しいことではありません。苦味やにおいに敏感な猫にとって、投薬そのものが大きなストレスになることもあります。大切なのは、猫にとって安全で、無理のない方法で治療を続けていくことです。
当院では、愛猫の性格やご家庭の状況に合わせて、無理のない投薬方法を一緒に考えることを大切にしています。困ったときに選択肢があることを知っていただくことで、飼い主様の気持ちが少しでも楽になるきっかけになればと考えています。
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横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
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