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2025.11.05 犬・猫の慢性腎臓病とは?早期発見のポイントとステージ別の治療・生活ケア

「最近少し痩せてきたかも」「食欲が落ちてきた」「おしっこの量が多い」「水をよく飲むようになった」──そんな変化を感じることはありませんか?

もしかすると、それは慢性腎臓病のサインかもしれません。

今回は、犬と猫の慢性腎臓病について、症状の特徴やステージごとの治療、そして日常生活でできるサポート方法についてご紹介します。

■目次
1.慢性腎臓病とは?高齢の犬・猫に多い理由
2.見逃しやすい初期症状と定期健診の大切さ
3.ステージ別の症状と治療・管理方針
4.食事療法と日常ケアでできるサポート
5.まとめ

慢性腎臓病とは?高齢の犬・猫に多い理由

慢性腎臓病は、腎臓の働きがゆるやかに低下していく進行性の病気で「腎不全」と表現されることもあります。

腎臓は、血液中の老廃物を尿として排出し、体内の水分やミネラルのバランスを保つなど、生命維持に欠かせない臓器です。この腎臓の機能が低下すると、老廃物が体内にたまりやすくなったり、水分や栄養バランスが崩れたりします。

原因としては、加齢による腎臓の構造変化や、過去の病気・炎症の影響などが考えられます。そのため特に高齢の犬や猫で発症が多くみられる病気です。

見逃しやすい初期症状と定期健診の大切さ

慢性腎臓病の初期は、はっきりとした症状が出にくく、気づかないうちに進行してしまうことがあります。「水をよく飲むようになった」「おしっこの量が増えた」「なんとなく元気がない」──そんな小さな変化が、実は早期のサインであることもあります。

注意したい主な症状

特に次のような様子が見られた場合は、早めに動物病院での検査をおすすめします。

水をよく飲む、尿の量が増える(多飲多尿)
体重が減ってきた
毛づやが悪くなった
食欲の低下
嘔吐や下痢が増えた

これらは腎臓病に限らず、さまざまな体調不良でも見られる症状ですが「年齢のせい」と思って見過ごさないことが大切です。

検査でわかること

腎臓の状態は、次のような検査で確認することができます。

血液検査:体内に老廃物がたまっていないか、腎臓がしっかり働いているかを確認します
尿検査:尿の濃さやたんぱく質の有無などから、腎臓のろ過機能を評価します
超音波(エコー)・レントゲン検査:腎臓の形や大きさを観察し、炎症や萎縮などの異常を見つけます

こうした検査を年に1〜2回の健康診断の中で行うことで、症状が出る前の小さな変化にも気づきやすくなり、適切なタイミングで治療やケアを始めやすくなります。

◼️犬・猫の健康診断についてはこちらで詳しく解説しています

 

ステージ別の症状と治療・管理方針

慢性腎臓病は、検査結果によっておおまかに4つのステージに分けられます。進行の段階に応じて治療の内容や目的は変わりますが、どの段階でも「今できるケア」を積み重ねることで、穏やかに過ごす時間を守ることができます。

▼初期(ステージ1〜2)
症状はほとんど見られません。
腎臓に負担をかけない食事管理を行い、進行をゆるやかにすることが目標です。

▼中期(ステージ3)
食欲の低下や体重減少が見られることがあります。
点滴や飲み薬で腎臓の働きを助けながら、できる限り快適な生活支えます。

▼末期(ステージ4)
食欲不振や嘔吐・下痢などが強くなったり、けいれんや貧血があらわれる場合があります。
体の負担を減らすため、集中的な治療痛みを和らげるケアを行います。

慢性腎臓病は完治を目指す病気ではなく「進行を遅らせ、穏やかに暮らせる時間を長く保つこと」が治療の目的です早い段階から継続的に通院して状態を確認することで、体調の変化に合わせて治療や生活ケアの内容を柔軟に調整できます。

かず動物病院では、検査や治療のたびに小さな変化も丁寧に見守りながら、飼い主様と一緒にその子のペースに合ったケアを考えていきます。「無理なく、穏やかに、できることを続けていく」そんな安心感をもって治療に向き合えるよう、長期的にサポートいたします。

食事療法と日常ケアでできるサポート

慢性腎臓病の管理では、病院での治療だけでなく、毎日の食事や生活環境の工夫もとても大切です。小さな積み重ねが愛犬・愛猫の体の負担をやわらげることにつながります。

食事管理

腎臓にやさしい食事は、病気の進行をゆるやかにする助けになります。次のようなポイントを意識してみましょう。

・療法食を選ぶ
腎臓に負担をかけにくいよう、たんぱく質やリンの量を調整したフードを選びましょう。その子の体調や好みに合うフードを見つけることが、無理なく続けるコツです。

・オメガ3脂肪酸を取り入れる
炎症を抑える働きがあり、サプリメントなどで補うと腎臓のケアに役立ちます。

新しいフードに変えるときは、1週間ほどかけて少しずつ混ぜながら切り替えていくとスムーズです。また、病気の進行度や体調によって食事内容は変わるため、獣医師と定期的に相談しながら調整していきましょう。

水分補給の工夫

慢性腎臓病では、体の水分バランスが崩れやすくなります。脱水を防ぐために、水をとりやすい環境を整えてあげましょう。

水飲み場を増やす
いつも過ごす場所の近くに水を置く
ウェットフードを利用する
ぬるま湯を与える(特に冬)

ちょっとした工夫でも、水分摂取量が変わることがあります。「今日はよく飲んでいるかな?」「おしっこの回数が少ないかも」といった日々の気づきを大切にしてあげてください。

毎日の観察ポイント

腎臓病のケアで最も大切なのは「変化に気づくこと」です。いつもと違う様子を早めに見つけられれば、治療の調整や早期対応につなげることができます。

食欲
飲水量
体重
尿の量や色、におい

こうした記録をつけておくと、診察時に正確な情報を伝えられ、よりその子に合ったケアにつながります。当院では、飼い主様が安心してケアを続けられるように、こうした日常の記録やご自宅での工夫についても丁寧にアドバイスしています。

まとめ

慢性腎臓病は、高齢の犬や猫で多くみられる身近な病気のひとつです。完治を目指すものではありませんが、早めに気づいて適切なケアを続けることで、穏やかで快適な毎日を守ることができます。

かず動物病院では、検査や治療だけでなく、ご家庭でのケアや日常の過ごし方についても丁寧にサポートしています。飼い主様と一緒に小さな変化を見守りながら、その子に合ったペースで無理なく続けられる方法を考えていきます。

「少し気になる様子がある」「念のため相談しておきたい」そんなときは、どうぞお気軽にご来院ください。

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