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2025.10.03 犬の咳は何が原因?症状別チェックリストと受診の目安を解説

犬も人と同じように咳をすることがあります。愛犬が苦しそうにしていると心配になりますよね。

犬の咳は軽い一時的なものもありますが、ときには命に関わる病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。

今回は、犬の咳について、症状ごとに考えられる原因や年齢別に多い病気、受診の目安とご家庭での対応まで詳しく解説します。

■目次
1.犬の咳の種類と症状別チェックリスト
2.年齢別に多い犬の咳の原因
3.受診の目安と家庭でできる応急対応
4.かず動物病院での診断と治療アプローチ
5.まとめ

犬の咳の種類と症状別チェックリスト

咳とひと口にいっても、その音や出方はさまざまです。乾いた音なのか、痰が絡んだように聞こえるのか、夜に多いのか…こうした違いは、体のどこに問題があるかを推測する手がかりになります。

以下を参考に、愛犬の咳がどのタイプに当てはまるか確認してみてください。

☑ 乾いた咳・ケンケンするような咳
のどに何かが引っかかったように聞こえる咳で、気管支炎ケンネルコフ気管虚脱などが考えられます。いずれも咳が長引くことが多く、放置すると悪化する場合があります。

☑ 痰が絡んだような咳
「ゴホゴホ」と湿った感じの咳で、肺炎心不全といった深刻な病気が隠れている場合があります。悪化すると呼吸困難を引き起こすこともあるため注意が必要です。

☑ 「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような咳
特徴的なこの音は、気管虚脱でよく見られます。気管が狭くなり空気の通り道がふさがってしまうため、呼吸が苦しくなりやすいのが特徴です。

☑ えずくような咳(吐きそうに見える咳)
実際に吐いていなくても「オエッ」とするようなしぐさを伴う咳は、気道の炎症逆流が関わっていることがあります。繰り返す場合は消化器や気道の精査が必要になることもあります。

☑ 夜間に強くなる咳
日中は落ち着いていても、夜に激しく咳き込む場合は心臓病気管虚脱が関わっていることがあります。どちらも進行すると呼吸に負担がかかるため、気になるときは早めにご相談ください。

☑ 興奮時や運動後に出る咳
運動や緊張で誘発される咳は、軽度の気管虚脱呼吸器への負担が関係していることがあります。元気そうに見えても繰り返すようなら、一度検査を受けておくと安心です。

☑ 発熱や元気消失を伴う咳
単なる咳ではなく、感染症肺炎といった全身状態に関わる病気のサインかもしれません。体力を消耗しやすいため、特に子犬やシニア犬では早めの受診が大切です。

☑ 長引く慢性的な咳
数週間以上続いている咳は、慢性気管支炎心臓病などの慢性疾患が背景にあることがあります。「そのうち治る」と思って放置すると進行してしまうケースもあるため注意が必要です。

これらは咳の種類から考えられる原因の一例であり、もちろん咳の音だけで病気を特定することはできません。ですが「いつ・どんな咳が出ているか」を日ごろから観察しておくことで、受診時に診断の大きな手がかりになります。

年齢別に多い犬の咳の原因

犬の咳は、年齢によって原因となる病気が異なることがあります。子犬、成犬、シニア犬それぞれで注意すべきポイントをご紹介します。

・子犬に多い咳
ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)」と呼ばれる犬の風邪のような病気が代表的です。特にワクチン未接種や他の犬と接触する機会が多い子犬に見られ、放置すると肺炎に進行することもあります。

・成犬に多い咳
小型犬に多い「気管虚脱」がよく知られています。気管がつぶれて空気が通りにくくなり、悪化すると咳が長引いたり止まりにくくなったりします。

・シニア犬に多い咳
加齢とともに心臓病が増えてくるため、弁膜症などが原因となる咳が多く見られます。進行すると肺に水がたまる「肺水腫」を引き起こすことがあり、命に関わるため特に注意が必要です。

愛犬の年齢に応じて起こりやすい病気を知っておくことは、早期発見の大切な第一歩です。気になる咳が続くときは早めにご相談ください。

受診の目安と家庭でできる応急対応

「咳をしているけど、少し様子を見ても大丈夫?」「今すぐ病院に行くべき?」と迷われる飼い主様も多いかもしれません。ここでは、受診が必要となるサインや、受診までにご家庭でできる対応をまとめました。

緊急受診が必要なサイン

次のような状態が見られる場合は、命に関わる病気のサインであることも考えられるため、ためらわずにすぐ動物病院へご連絡ください。

元気や食欲が明らかに落ちている
呼吸がいつもより早い、浅い、苦しそうに見える
舌や唇が紫色に変色している(チアノーゼ)

できれば早めに受診したほうがよいケース

次のような場合は、緊急ではなくても早めの受診をおすすめします。

咳の頻度が増えている
一度咳が始まると止まりにくい
咳をするたびに苦しそうに見える

ご家庭でできる応急対応

受診までの間は、できるだけ安静にさせ、興奮させないようにしましょう。加湿器や濡れタオルを利用して空気を潤すと、咳が少し楽になることもあります。

また、来院時にお伝えいただくと診断の助けになる情報があります。

食欲:普段を100%としたときに、今はどのくらい食べられているか
呼吸の様子:伏せの姿勢がとれるか、上を向いてハアハアしていないか
呼吸数:15秒間に胸の上下が何回あるかを数え、×4をすると1分間の呼吸数がわかります

人間用の薬を犬に使うのはもちろんのこと、以前に病院でもらった犬用の薬であっても、自己判断で与えるのは危険です。必ず獣医師の指示のもとで投薬を行ってください。

かず動物病院での診断と治療アプローチ

犬の咳には、感染症から気管や心臓の病気まで幅広い原因が関わります。そのため、まずは原因を正確に見極めることが何よりも大切です。

診断の流れ

当院では、症状や全身状態を丁寧に確認しながら、次のようなステップで診断を進めています。

▼問診
咳がいつから出ているのか、どんなときに多いのか、元気や食欲の有無などを詳しく伺います。

▼聴診
胸に聴診器をあてて呼吸音を確認し、肺や心臓の異常がないかをチェックします。

▼各種検査
必要に応じて以下のような検査を組み合わせ、さらに詳しく状態を確認します。

レントゲン検査:気管の太さや肺の状態、心臓の大きさなどを画像で確認します。
血液検査:炎症や感染の有無を数値で把握します。
心臓検査:心臓病が疑われる場合には、心エコーなどの精密検査で詳しく評価します。

このように、その子の状態に合わせて検査を行うことで、咳の原因を正しく突き止め、最適な治療につなげています。

症例に応じた治療方針の一例

診断の結果によって、治療の内容は大きく変わります。

・感染症の場合
抗菌薬の投与や吸入治療を行い、炎症や感染を抑えます。

・気管虚脱の場合
薬による内科的な管理に加え、首輪ではなくハーネスを使用するなど生活環境の工夫をアドバイスします。

・心臓病の場合
心臓の働きを助ける薬や利尿薬を使用し、定期的な検査を続けながら状態の改善や進行の抑制を図ります。

かず動物病院では、原因を正しく見極め、その子に本当に必要な治療をご提案することを大切にしています。愛犬の咳でお困りのときは、どうぞ安心してご相談ください。

まとめ

犬の咳は、軽い風邪のような場合もあれば、心臓病や肺炎など命に関わる病気のサインであることもあります。大切なのは「どのような咳をしているのか」「元気や食欲はどうか」をよく観察し、迷ったら早めに相談することです。

かず動物病院では、飼い主様に安心していただけるよう丁寧な診断と治療を行っています。愛犬の咳が気になるときは、お気軽にご相談ください。

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