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2025.08.25 【症例紹介】14歳2カ月ミニチュアダックスフンドの脾臓摘出|食欲不振から判明した血管肉腫

「フードは食べないけれど、おやつは食べている」そんなちょっとした変化にも、注意が必要なことがあります。年齢を重ねた犬では、元気そうに見えても、見えない部分で体に異常が起きていることがあるためです。

今回は、軽い食欲のムラをきっかけにご相談いただき、検査の結果、お腹の中に腫瘤が見つかったミニチュアダックスフンドの症例をご紹介します。

■目次
1.症例情報(概要)
2.ご相談内容とご来院時の状態
3.検査結果と治療方針
4.処置の流れ
5.術後の様子と経過
6.食欲の変化から見つかることも|脾臓の腫瘍と血管肉腫
7.まとめ

症例情報(概要)

種類:犬(ミニチュアダックスフンド)
年齢:14歳2カ月
性別:避妊メス
体重:3.56kg
主訴:フードを食べない
病名:脾臓腫瘍(血管肉腫)
処置内容:脾臓全摘出術、術後の抗がん剤治療
術後経過:転移は認められず良好な経過を維持中

ご相談内容とご来院時の状態

「1週間前からドッグフードだけを食べなくなった」とのご相談でご来院いただきました。
おやつは食べるものの、主食を口にしないとのことでしたが、元気や活動性は比較的保たれている様子でした。
こうした状態でも、年齢や体調の変化を考慮し、しっかりと検査を行うことが重要です。

検査結果と治療方針

診察では、腹部を触診した際に塊状のしこりが確認され、以前の体重と比較して明らかな減少も見られたため、以下のような検査を実施しました。

血液検査
レントゲン検査
超音波検査

血液検査では大きな異常は見られず、貧血などの症状も認められませんでしたが、超音波検査により脾臓に2か所の腫瘤を確認。脾臓の腫瘍が強く疑われたため、考えられるリスクや手術の必要性について飼い主様に丁寧にご説明したうえで、脾臓の全摘出術を実施する方針となりました。

治療方針

・脾臓全摘出による腫瘤の外科的切除
・開腹時に他臓器(肝臓・腹腔内リンパ節など)への転移状況を確認
・病理結果に応じた術後の抗がん剤治療の開始

処置の流れ

処置は、全身麻酔のリスクを丁寧に評価したうえで、安全性を確認してから実施しました。
特に高齢の犬での手術には慎重な判断が求められるため、術前の段階からしっかりとした準備を行います。

①術前検査
14歳という年齢を考慮し、全身麻酔に耐えられる状態かどうかを見極めるための術前検査を実施し、安全性を確認したうえで手術へと進みました。

②脾臓の全摘出手術
腹部を開いて脾臓を確認し、腫瘤ごと脾臓を全摘出しました。
この際、肝臓や腹腔内リンパ節など、腫瘍が転移しやすい部位についても慎重に観察し、肉眼的に異常がないことを確認しています。
摘出後は、丁寧に止血・閉腹を行いました。

③病理検査と術後の対応
摘出した脾臓は病理検査に提出し、血管肉腫という悪性腫瘍であることが判明しました。
血管肉腫は再発や転移のリスクが非常に高い腫瘍のため、術後すぐに抗がん剤治療を開始し、今後の経過観察につなげています。

術後の様子と経過

術後は大きなトラブルもなく、落ち着いた状態で回復を迎えることができました。

摘出した脾臓の病理検査の結果は「血管肉腫」という診断で、この腫瘍は肝臓・肺・腹腔内リンパ節など、さまざまな臓器への転移が起こりやすい悪性腫瘍です。そのため、手術後はすぐに抗がん剤治療を開始し、再発や転移に備えながら慎重に経過を見守っています。

現時点では明らかな転移は認められておらず、良好な経過をたどっています。今後も定期的に検査を行い、引き続き状態の確認を続けていきます。

食欲の変化から見つかることも|脾臓の腫瘍と血管肉腫

脾臓は、血液をためたり、古くなった赤血球を壊したりする臓器ですが、異常があっても気づかれにくいのが特徴です。

今回見つかった「血管肉腫」は、脾臓に発生しやすい悪性腫瘍のひとつで、以下のような特徴があります。

肝臓や肺などへ転移しやすい
腫瘍の中に血がたまり、破裂して出血を起こすことがある

腫瘍が破裂すると、急激な貧血や出血性ショックを引き起こし、命に関わる危険性もあるため注意が必要です。今回は、比較的早い段階で腫瘍を発見できたことで、脾臓の摘出手術と術後の抗がん剤治療を組み合わせた、計画的な対応につなげることができました。

血管肉腫は進行が早い腫瘍のため、早期発見がとても重要です。「フードを食べない」「元気がない」「体重が減っている」など、一見ささいに見える変化が、体の中の異常を知らせるサインであることもあります。

こうした変化に早く気づくためにも、日ごろの観察に加えて定期的な健康診断を受けることが、病気の早期発見・早期対応につながります

まとめ

今回のように、はっきりとした症状がなくても、検査によって重大な病気が見つかることがあります。特に高齢の犬では、明らかな不調が見られなくても、身体のどこかに異変が起きている可能性を常に考える必要があります。

この症例では、早期に腫瘍を見つけることができたことで、外科手術と抗がん剤治療を計画的に進めることができました。日々のちょっとした変化に気づく飼い主様の目と、それを見逃さずに適切に対応することの大切さを、あらためて感じさせられるケースでした。

かず動物病院では、年齢や症状の有無にかかわらず、一頭一頭の状態を丁寧に確認しながら診療を行っています。気になる変化があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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