Allblog

2024.08.22 獣医師が警告!┃愛犬の咳と疲れやすさは心臓病のサイン?見逃せない症状と対策

心臓は4つの部屋に分かれており、それぞれの間や血管の接続部には、血液の逆流を防ぐための弁があります。中でも弁膜症は、犬の心臓病の中でも特に一般的な疾患で、弁の機能が低下し、血液が逆流することで様々な症状が現れます。弁膜症にはいくつかの具体的な病名があり、それぞれ影響を受ける弁と症状の特性によって異なります。例えば、僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症などが代表的です。

そこで今回は、犬の弁膜症のサインや症状、家庭でのチェック方法、予防方法についてお話しますので、ぜひ参考にしてください。

■目次
1.見逃せない心臓病のサイン
2.なぜこれらの症状が現れるのか
3.ご家庭でできるチェックと注意点
4.診断と検査方法、治療法について
5.予防法と日常のケア
6.まとめ
7.よくある質問

見逃せない心臓病のサイン

以下の症状が見られる場合、心臓病の可能性が考えられます。

ケホケホと空咳を日に何度もする
以前より散歩を嫌がる
活動性が低下し、すぐに座り込む(疲れやすい)
ハァハァと呼吸が荒くなる

 

なぜこれらの症状が現れるのか

心臓の各部屋の中で、左心室は最も大きく、体全体に血液を送り出すポンプの役割をしています。左心房と左心室の間には僧帽弁があり、この弁は左心室から送り出された血液が左心房に逆流するのを防ぐ働きをしています。

犬で最も多い心臓病の一つに、「僧帽弁閉鎖不全症」があります。この病気では、僧帽弁がしっかりと閉まらず、血液が逆流してしまうため、咳が出やすくなります。また、心臓から十分な血液が供給されないため、体全体が酸素や栄養不足になり、疲れやすくなります。

 

ご家庭でできるチェックと注意点

ご家庭で簡単にできるチェック法として安静時の呼吸数の計測があります。犬は興奮や運動ですぐにパンティング(ハァハァする)するため、落ち着いているときや寝ているときに1分間の呼吸数を数えてみましょう。犬種や年齢によっても変わりますが、10〜35回程度が正常です

また、散歩に行って以前より早く帰りたがったり、伏せてしまう場合は活動量低下のサインかもしれません

 

診断と検査方法、治療法について

心臓病の診断にはエコー検査が最も有用です。心臓の動きをリアルタイムで観察し、心筋の厚さや弁の動きを確認します。他にも心電図や胸部レントゲン、血液検査で心臓病マーカー(NT−proBNP)を測定します。

治療法は弁膜症の進行具合によって異なり、心臓の機能を補助する薬を用います。また、外科的に弁の構造を修復し、機能を改善する手術もあります。

 

予防法と日常のケア

普段から塩分や脂肪分を摂りすぎないようにし、適度な運動を心がけましょう

また、弁膜症は咳などの症状が現れる前から聴診で心雑音が聴取されることが多いため、定期的に動物病院で健康診断を受け心臓の音を確認してもらいましょう歯周病による口腔内の細菌が心臓病につながる報告もあるため、歯磨きや歯石除去を定期的に行い、歯周病を予防することも大切です。

歯周病についてこちらで詳しく解説しています

また、わんちゃんドックとして、当院推奨の検査項目を合わせた健康診断コース(心臓健診コースなど)をセット料金でご用意しています。犬種によって心臓病が遺伝的に多く、比較的若齢から徴候があらわれる種類もあるため、高齢のわんちゃんだけでなく、若齢のわんちゃんもぜひ、心臓健診コースのご利用をおすすめします。

当院の心臓健診コースについて

 

まとめ

弁膜症は完治が難しく、徐々に進行する病気です。早期発見と適切な治療が予後を大きく左右します。日頃からペットの様子を観察し、少しでも異変を感じたら早めに受診してください。

また、心臓病の治療は生涯に渡って続くため、信頼できるかかりつけ獣医師を持ち二人三脚で治療を行っていくことが大切です。

 

よくある質問

Q.犬の正常な呼吸数はどのくらいですか?
A.犬種や年齢によっても変わりますが、1分間に10〜35回程度です。

Q.心臓病の犬は運動させても大丈夫ですか?
A.気分転換程度の軽い散歩なら可能ですが、息があがるような運動は避けてください。 

Q.犬の心臓病は治りますか?薬は一生飲み続ける必要がありますか?
A.はい、外科的手術で弁の再建などをしないかぎり完治は難しいですが、薬物療法で症状を管理できます。多くの場合、薬は生涯にわたり必要です。

Q.心臓病の犬にはどんな食事が良いですか?
A.塩分、脂肪分、リンの過剰摂取に気を付ける必要があります。療法食に心臓病の子専用のご飯があるので、そちらを利用すると良いでしょう。

Q.心臓病は遺伝しますか?特定の犬種がなりやすいのでしょうか?
A.僧帽弁閉鎖不全症は遺伝性疾患であることが知られています。好発犬種はプードルやキャバリア、チワワなどがあげられます。

Q.犬の心臓病の診断にはどのような検査が必要ですか?費用はどのくらいかかりますか? 
A.基本的な聴診や問診などの診察の他にエコー検査、レントゲン、血液検査などを行います。費用は病院により異なるため、受診したい動物病院に直接確認されると確実です。

Q.心臓病の犬を留守番させても大丈夫ですか?
A.買い物など日常的にしている短時間の留守番なら大丈夫だと思いますが、容体の急変やストレスによる症状の悪化が考えられるため、長時間の留守番は避けた方がよいでしょう。

他にも疑問・質問などあればお気軽にお問い合わせください。

 

横浜市南区
犬・猫・うさぎ・ハムスター・フェレットの動物診療を行う
かず動物病院
当院の診療案内はこちら